ベートーヴェン交響曲第七番 C・クライバー指揮バイエルン国立管弦楽団 LIVE1982

#その他音楽

図書館にあったんですけど、えらいCDが落ちていたものです。
クライバーの響きは生々しいというか鮮烈というか、そういった指揮なんですけど、そういう類の指揮者っていうのは勢いは良いけど次に出る音の有様が予想できる事が多いんですけど、カルロスには意表を突かれる事が多いんですよね。やはりそこが超一流指揮者の所以なのだと思います。

一楽章はまさにノリノリですが、さっきも言った様に一本調子には絶対といって良いほどならないのが凄い所です。
二楽章も音楽うねっていて気味が悪い程に生々しいです。音楽の要素の内で、表面に出ている物が多すぎる気はしますけど、そこらへんは個性で有るといえましょう。緩除楽章の肝の弱音部のニュアンスはジンマンとムラヴィンスキーの中間みたいな印象です。敢えて表現するなら、磁石が風で地面に叩きつけられているんですけど、よく見ると反発していて薄皮一枚浮いている。そういうすれすれの余韻みたいなのが表現されていると思います。汲み取って頂ければ幸いです(笑)
第三楽章もやはり見事の一語。華麗にして壮大といった言葉が似つかわしいかと思います。カルロスの出す音って言うのは本当に独特の金属が高速で擦れ合う様な音で、色々な楽団を振っている様に見えて「C・クライバー管弦楽団」とかそういうのを常に振っているんじゃないかと疑ってしまう程です(笑)
第四楽章は最早怒涛の迫力が混迷に聞こえてしまう領域まで来ていると思います(笑)オーケストラというより良く分からない蝉の大群が鳴いているようです。
演奏終了後の拍手は最初ボツボツ始まってだんだん熱を帯びてきますが、終了当初はみんな演奏に圧倒されて呆然としてしまっていたのではないでしょうか。この系統の圧倒的な演奏になるとフライングブラボーの類は出しようも無いのかもしれません。

改めてC・クライバーは実演で聴いてみたかった指揮者だったなと思いました。すごいなぁ。
普通の演奏するだけのような指揮者は、このCDを聞いたらショックを受け・・・ませんよね(笑)受けて呉れたら良いんですけど。逆に普通の指揮者の演奏を求めてやってくる聴衆の前でC・クライバーの様な演奏をすると白い目で見られるのかもしれません。色々な在り方が有って構わないとは思うんですけど。
先週のN響アワーのみっくん推薦の演奏の一つを聴きながら、そんな事を思いました。

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