併設の「モダンガール万華鏡」では戦前の美人画の特集。「美人画」は明治四十年に官展ができて成立したらしく、私も清方とか松園の絵の様な系統を日本画といわれてもピンとこないんですよね。
官展のものでは、横尾芳月の「和蘭蛇土産」が妖艶な仕上がり。
「モガ街を行く」では関東大震災で洋服の機能性が注目された、とのことですけど「文明国をめざして」 ((全集 日本の歴史 13) 牧原 憲夫)にもなんば歩きとして書かれているように、和服での動きと洋服での動きは根本的に違い、そういった身体の使い方の境目がここらへんにあって、洋服の方が動きやすいということになってきたのかもしれません。
また「「いのち」と帝国日本」( (全集 日本の歴史 14) 小松 裕)によると、当時和服禁止令が出されたらしく、洋装化については白木屋のエピソードとか象徴的な話に原因が求められたりもしますが、今後そういった総合的な視点から、研究が進んでゆくのでしょう。
「全部脱ぎました」のコーナーでは裸は春画においてもまれだった、と解説されていますけど、そうではないと思いますし、風呂場を描いたような浮世絵も多いです。
「文明国をめざして」 ((全集 日本の歴史 13) 牧原 憲夫)にあるように明治に裸禁止令が出て、露出に関して西洋的な感覚が普及して以降ではじめて描かれた裸が、ここのコーナーにある大正以降の作品である、という位置づけが適当でしょう。
英泉は退廃的、デカタンスと言われていましたが、今回まとめてみると、所作としては歌舞伎を基礎としたしっかりした印象で、そのデカタンスも日本の世紀末の退廃が重ねあわされたものだったのかもしれません。浮世絵史上で欠かすことができない個性だったと言えるでしょう。ありがとうございました。
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