行って参りました。
後期はどちらかというと小ぶりの作品が多かったですが、江島細香の「竹菊図」が良く、簡明なしなやかさを誇る細竹が確りと書かれていました。細竹は細香が自身を託してよく描いた画題らしく、仙厓さんの堪忍と並んで、自身の精神を託した画として、とてもレヴェルの高い作品に仕上がっています。
この人は当時の女性画家の元締めだったそうです。
奥原晴湖の「枯木群鳥」は練習絵で、椿椿山の構図もとに色々加えたものだそうですが、色彩豊で生命感があり、奥行きがあって趣深かったです。
跡見花蹊の「山水」は鵜飼の絵で、遠くをぼやかして距離感を上手く出していると解説にありましたが、空気遠近法は山水画の常識ですかね?!
他に平常展では岩佐又兵衛「羅浮仙図」がいつもの腰が前下方にずり落ちた不思議な人物図で、又兵衛以前にこういう描き方をしていた人を知りませんし、以降受け継いだという人も知りません。まず立てない立ち姿図で一体何なのか、、、、。
お経では「報恩経」というのがあって、当時釈迦が親を捨てて出家したのは忘恩ではないのかという非難があったらしく、それに対して一切衆生を救うために出家したのだ、と反論するお経らしく、道元なんかも似た様な課題に直面して、色々書いています。
道元はだからこそ一生懸命修行して人を救えるようにならなければいけないのだ、という結論を出したようですが、現代でもこのような社会の中で仏教をやるということに対する切実な問いは、中心に据えておかなければならないことの一つだと思います。
「仮名消息」は俊成の書で、雑駁なまでに力強いです。最初にこの人の字を見たときは結構驚いたんですけど、書き殴っているのかのような感じすらします。
「飲中八仙歌屏風」は亀田鵬斎の書で、この人の字は海外でも人気があるとのこと。他で色々解説を読むと良寛の書の影響を受けたといわれるが実際は懐素の影響を受けている、と書かれていることが多いのですが、ここでは良寛の影響を受けたとの解説。
良寛と鵬斎の展覧会は隨分昔に書道博物館でやっていたんですけど、行きそびれてしまい、もう一回似た様な事をどこかでやらないのかな~と思っているところ。
いわゆる狂草という形式ですが、極めて自由な曲線を描いていて、一人だけ何か違う文化圏の文字を描いているような雰囲気すら感じられます。
焼き物では「瑠璃地銀彩山水図徳利」がやたらきらきらした伊万里で、流石に変った物を持っています。
国宝室は「医心方」という医学の古典で、今では失われた中国の医学書も沢山引用されていて、物凄く史料価値が高いようです。
浮世絵コーナーはどうも湯上り絵が多いもよう。川又常正の「浴室脇の男女図」は両方女性に見えるのですがどういうことでしょう?
石川豊信の「湯上がりの団扇を持てる美人」は湯上りの女性がうちわを持っているのですが、どう観ても服がほとんど着れておらず、着てから団扇を持った方が。。。。
鳥居清長の「四条河原夕涼」は女性が集団で夕涼みしている図で、のんべんだらりんと横とになっている人もいます。現代では意外にこれぐらいでも礼儀作法のコードに触れてしまうのではないでしょうか。
勝川春英の「湯上り美人と猫図」も女性のしなやかな曲線に、ハプニング的な猫の動きが緊張感を添える良い作品です。
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