行って参りました。
自館と書道博物館のものでだいたい賄った展覧会で、東アジアからの出品が無いのが東博の特別展としては手抜きかなとも思えるのですが、もしかしたら外交関係とかも関連しているのですかね。
今回はパンフレットを貰ったり色々受付の人とやり取りしましたが、目を合わせてくれないのが気になりました。民間のところならどこでも合わせてくれるので、とりあえず書いておきます。
結構込んでいて、みんな字形を細かくみたり読みながら移動するのか、余り列が先に進まないのが特徴でもありました。
王羲之の書については縦の線の端正さがまず印象的で、文字ひとつひとつがずれなくびしっと並んでいる印象。他の人の書では真っ直ぐ書いているようでも、実際そう書かれていても、曲がっているような印象を受けるものがありますがここらへんがまず王羲之は精緻だなと思います。
あとは王羲之の特番で、龍が昇るようで虎が伏しているようだ、という評がありましたけど、簡潔に美徳を表していると思います。雄渾で抑揚も素晴らしいといえます。
ずっと眺めていても飽きない、ともよく言われているみたいですが、細部の自在さが圧倒的で、ミニマムな起伏に富んでいるのがその理由でしょう。
会場内には王羲之のエピソードが張り出されていましたが、「東床坦腹」などが味わい深いでしょうか。
決して堅苦しい一方ではない文人文化や、禅を生み出すに至ったような中国文化の雰囲気が伝わってくると思います。
余り売れていない扇売りの老婆の扇に字を書いたら、異様な高値で飛ぶように売れた、という話は、何でも触れたものが黄金になってしまう男の話すら思わせます。
後半は王羲之以外のものも出ていて、「行書王史二氏墓誌銘稿巻 黄庭堅筆 北宋時代・11世紀」は東博がもっているらしい、大柄な字を巻物に配した格調高い作品。
「行草書七言絶句軸 傅山筆 清時代・康煕21年(1682)」はエキセントリックな勢いが面白かったです。
八大山人の名前で知られる「行書臨河序六屏 しゅ とう筆 清時代・康煕39年(1700)」は抑揚を廃していて、正統派の書の中では目立ちます。
ひたすら蘭亭序がならんでいたり、重複するような作品も多かったですが、同じなだけにかえってその差異から歴史が感じ取れたような気もします。蘭亭序は文章も良いですし、王羲之という人の人柄もとても魅力的だったと思います。ありがとうございました。
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