「ジャン=ジャック・ルソーの政治哲学―一般意志・人民主権・共和国 [著]ブリュノ・ベルナルディ」(http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2014040700008.html)は現在のルソーの再解釈を伝えてくれる作品とのこと。
「共和国を構成する市民に「徳」を求めるのが一般的である。ところが、ルソーの『社会契約論』には徳への言及がほとんどない。」とのこと。
こういった個々の精神的な陶冶を無視してシステムだけでなんとかなるように考えているような論者が非常に多くて、問題だなと思っているのですが、その源流はルソーにあったのかもしれませんね。
これは無責任社会の元凶ともいえるものなので、そこにルソーは大きくかかわっているといえるでしょう。
「国家はそれ自身が拡大傾向をもつが、そのための戦争は市民の意志では正当化されないという。自衛を名目とする侵略的戦争が絶えない以上、こうしたルソーの区分の限界は明らかである。」というのも注目される部分。拡大傾向に歯止めをかけるのは結局市民一人一人や責任者の徳なのだとおもいます。
契約しておしまい、というのではなくて、その中にウェットな潤滑油のような感覚があって、さらにそこに契約としての部分が乗ってくる、といった形が、今後の時代の目指すべき形なのかなと思っています。
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