(耕論)安倍談話の歴史観 成田龍一さん、李元徳さん、久保亨さん その4

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他にも、自民党の改憲草案ではキリスト教由来である「天賦人権説に基づく規定を見直した」とうたわれていますが仏教の中にもといいますか、私に言わせればより濃厚に人権的な内容は存在しています。

堀米庸三さんが日本思想の中から人権の根拠になる言葉として取り出した「一切衆生悉有仏性」とか、「草木国土悉皆成仏」とか、そもそも「平等」という言葉は仏教用語です。

他にも儒教であれば「一視同仁」とか、人間すべての平等を示す思想は随所にあり、それは東洋思想の根本です。

なので、福祉の発達なども東洋の方が歴史的に西洋に先んじていました。(「慈悲」 (講談社学術文庫) 中村 元 (著))

実際幕末にはそれに基づいた人権思想が育まれていて(「開国と幕末改革」日本の歴史18 (講談社学術文庫) 井上 勝生 (著))、人に対する命を大切にする扱い方は西洋より上だったと思います。

よって自民党の改憲草案というのは、非西洋であって同時に非東洋である。また非宗教であって非文化である、というのが内容です。これは宗教・文化を終始余計なものとして扱い続けた司馬遼太郎さんの思想と同じものだと私は感じます。

そういう根底的な部分の現代自民党への影響というのは強く感じます。

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