サントリー美術館 開館記念特別展 「BIOMBO(ビオンボ)/屏風 日本の美」第三期

#その他芸術、アート

芸術的にまず良かったのが勝部如春斎筆の「小袖・屏風虫干し図」ですね。絵の中に画中画として屏風絵がたくさん描かれているのですが、どれも絢爛で細密描写が素晴らしかったです。
最初の方の品は歴史的な資料といった感じも強く、貴重で良い所も有るのですが、全体的にくすんでよく見えないものも多かったです(笑)
狩野晴川院養信筆の「四季耕作図・波濤図屏風」は非常に勢いの有る墨蹟が特徴で、大きく力強い幹には枯淡の美とも言うべき美しさが有りました。
伝原在中筆の「白絵屏風」は出産の時に白絵の屏風を使った風習が有ったそうで、その現存する希少な物の一つだそうです。へぇ、こんな物が有るんだなぁ、と感心したと同時に白一色の図柄は気品があって芸術作品としても良いなぁと思いました。綺麗な鶴でした。
東山魁夷・髙山辰雄筆の「悠紀・主基地方風俗歌屏風」(平成度)は東山魁夷の絵で初めて良いなと思いました。中央の桜の霞んだ描写と周囲ののっぺりとした青のバランスが良くてなかなか見事でした。
「祇園祭礼図屏風」であるとか祭りですので、いわば群集図で風俗や街の雰囲気が楽しかったです。やっぱり細かい良い仕事ですし、これらを集めた事自体も良い仕事です(笑)この列のケースの屏風は海外含めて6ヶ所位に散っていたのを二つの纏りに復元した物だという事で、会期が終わったらまたばらばらになるのかしらん?とちょっと勿体無く思っていました(笑)

今回の最高の出し物はオランダ国王ウィレム3世から贈られた蒸気船の返礼として、江戸幕府が当時の奥絵師たちに描かせて贈った屏風で、軍艦のお礼に屏風っていうのがまず面白いですけど、その出来は本当に見事です。150年ぶりに日本に帰ってきたというのも有り難味が増す、といいますか本当に有り難いです(笑)
狩野探原守経筆の「富士巻狩図屏風」がまず本当に見事で、これだけで来た価値が有る位でした。背景の木に雪の降り積もる様が本当に見事で、粉砂糖を振りかけたようにしか見えません。この時本当に良い芸術作品は時に食べ物に見えることに気が付きました(笑)
やっぱり幕末となると既に明治に接近していて、画題が近いからかもしれませんけど、狩野永悳立信筆の「武者図屏風」は江戸らしい柔らかさを残しながらも、明治の人であるこの前の金毘羅宮の屯田丹陵の絵に似ていました。「武者図屏風」の方が殺風景の中にも鮮やかな明るさが有って感銘を受けましたが。
最後に置いてあった狩野雅楽助之信筆の「松下麝香猫図屏風」の麝香猫がなにやら不気味で、東南アジア情緒?の面白い屏風でした。これまたボストン美術館から対となる一隻を持ってきたそうで、サントリー美術館の各所から引っ張って来て纏めたものとして展示する行動力は素晴らしいです。後期も楽しみです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました