ハスキル/ザッハー指揮ウィーン交響楽団 k488 1954年monoその2

#その他音楽

このCDの魅力の大きな部分を占めているのは抑制の美学です。それにしても不思議ですよねぇ。抑制の効いた音というのは普通の何の工夫の無い音と殆ど実体的に変わらない(特にピアノでは)のに、これほど呼び起こす感興に差が有るのですから。
有る小箱を外から見た時にその中には果たして中身が詰まっているのか――――――――それを見抜くのが鑑賞の一つの極まった所だと思うのですが、その作業はやはり全く理屈では有りませんね。
音楽の極まった所はやはり無音を聞かせる音楽だと思うんですよね。それをルフトパウゼとか目立つ形ではなく、一音一音の短いスパンで達成しているのがハスキルの演奏だといえましょう。
過剰とも思われる表現が幅を利かす昨今、品なんていう言葉はむしろクラシック界に於いて否定的に使われることも多くなりましたが、ハスキルの演奏には一切の甘さを排除した本物の気品が込められており、僕にはそれは絶対的な価値を持って聴こえるのです(なんとなく)

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