いきなり極めて霊妙な合唱から始まります。レークナーらしい(と言える程この人のCDを聴いていないかもしれませんが)芯の有る存在感に溢れる音で、ぶっきらぼうに見えてニュアンス豊かな良い音楽です。さすが逝去された時に、色んな人が一斉に心から哀悼の意を表した指揮者です。
しかしグローリアの究極的に単調にして神聖な趣は不思議過ぎて笑ってしまいます(笑)相変わらず特徴的な作曲家ですよね。アニュス・デイは金管も合唱も咆哮させず、丁寧素朴な合唱で勝負して良い音楽にしています。
テ・デウムは雄渾な演奏です。ドラマティックな音楽が続きますが、最後のイン・テ・ドミネ・スペラヴィで優しい切々とした音楽になり、歌い上げ、調和して感動的な余韻を残します。全体性の一致を見て見事な展開です。
今回久しぶりにブルックナーのミサ曲を聴いて、バッハやラヴェルと比べて非常に簡素に聴こえるのに驚きました。ブルックナーの何が一般の音楽家に勝るかといえばそれは魂に他ならず、またそのことの尊さを教えてくれるCDです。
ちなみにこのCDの解説は許光俊ですけど、解説の文言が得意の形容詞を総投入した様なテンションの高いもので、素直に感心しました。(笑)
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