ムローヴァ ベートーヴェン&メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲

#その他音楽

指揮のガーディナーは古楽の得意な指揮者ですが、ベートーヴェンでも厚みのある、良い音を築いています。ガーディナーという指揮者は聴いている間中、良いかな?と思うとやっぱり良くないな、と思うことの繰り返しで、私にとって微妙な指揮者です(笑)結論としてはそれ程聴きたい指揮者では有りません。ただ、ベートーヴェンは凄く相性が良いようですね。ピリオド楽器を使用しているせいか、音色に豊かさは有りませんが、迫力は十分です。

ムローヴァは冷静なタイプのヴァイオリニストの様で、非常に切れる演奏です。高い弱音を丁寧に繋いでゆくのが上手く、シャープで典雅で、この前に見た伝小野道風の「古今集切」を思い出しました。

思いの限りをぶつける、というような人ではなく、集中力の中にも控え目な所があるので、ラルゲット(ちょっとゆっくり)の第2楽章に深みがあります。

第3楽章はガーディナーがのっています。古楽系の指揮者の中では、大味ですが力のある音楽を奏でる人ですよね。ムローヴァはあっさりしていて押され気味ともいえますが、小鳥のさえずりのような音楽を、自分の音楽を、自然に奏でているともいえます。

メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、聴いた瞬間に脈絡無く、キョンファの演奏を最初にCDで聴いた時の感覚が、当時の記憶と共に蘇りました(笑)あの日も非常に暑い日でしたねぇ。
陶酔的な部分のある音楽ですが、ムローヴァの演奏は陶酔的でも熱演でもなく、涼やかな中に空中を漂っているような独特の余韻を醸します。

第2楽章はやっぱり見事です。緩徐楽章になると、自然に音色が前に飛び出してくる、ヴァイオリニストだと思います。

傑物揃いのヴァイオリニストの中で、自然であえかとも言えそうな個性を堪能させてくれる人だと思います。

このCDの後に続けて「ナージャ白熱のリサイタル」を聴いていたら、余りの熱気と、締め切った部屋の熱気で、最初の曲で頭が白くなってきました(笑)みなさんもお気をつけ下さい。

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