ただ券を頂いたので行って参りました。
最初の方は近代の画家から。
前田青邨の「蓮台寺の松蔭」は松蔭のおかしな変わった雰囲気はあんまり有りませんでしたけど、焦点定まらぬ風に向こうを見ている所に、それっぽい感じがありました。
同じく前田青邨の「大物浦」は義経一行が船で逃げる絵なんですが、この後難破したそうで、荒れ狂う、岩の様な海の迫力が中々です。
東山魁夷の「満ち来る潮」もいつもの岩礁の風景に、金銀を散らしたもので、豪華で立派でした。東山魁夷は良い画家だと思うんですけど、立派過ぎる所が、個人的にはやっぱり釈然としません(笑)歴史的にはどんな評価になるんでしょうねぇ。
立派といえば下村観山の「老松白藤」で、金地に渾身の気迫をこめて描かれているんですが、迫力がありすぎて下手すると悪い意味で任侠っぽくて、流石に下品な様な・・・。
速水御舟の「白芙蓉」は、芙蓉の葉のぼかし方の新鮮な感じに、近代日本画の良さが有った様に思います。
古典の方では「俵屋宗達(絵)・本阿弥光悦(書)《新古今集鹿下絵和歌巻断簡》」が見事な作品。鹿の力強くもぽつんとした余韻に惹かれます。
伝宗達の「槇楓図屏風」は大琳派展では、会期違いですれ違いだった模様。下から上へ伸びる風な葉が執拗に描かれている作品で、無言の底力があったように思います。
抱一もいつもながら見事です。「月梅」ですとか、枝の描かれ方が書の様で、総合的な風流人だった抱一の佇まいが想像されます。「飛雪白鷺」は以前と違う場所にあったので、照明の当り方が違って、今回は下の鷺の足元の波紋に惹かれました。
鈴木其一は「四季花蝶図」が凄い屏風です。其一は待遇の良い時代が後半生続いたらしく、絵の具は良い物をガンガン使ってますし、画題も描きたいものを描いている感じです。この屏風は四季の草花・生き物を詰め込んだもので、写実が好きな其一の研究成果が存分に生かされています。
生き物では、鶏のたゆんたゆんな感じと周囲のひよこ達は、トトロのような可愛らしさ。植物はぱっと見、密林の様で、個個もみんな良かったですが、たんぽぽ、朝顔、ナナカマド?辺りに目が行きました。向日葵もあって、これが肉厚の素晴らしい存在感があって、まだ見ぬ「向日葵図」に対する妄想をかき立てます。
とても良い品があった展覧会でした。
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