国立科学博物館 インカ帝国のルーツ 黄金の都シカン

歴史

券を頂いたので、行って参りました。
シカンは一時期聞かなかったのに最近活発だな、と思ったら、なんでも洪水で地下水が増えて掘れなくなっていたそうで、大変でした(笑)その間なのか、土器の復元とか、作業員のDNA鑑定をやったそうで、発掘の中身が詰ってきた感じもしました。作業員のミトコンドリアDNAはネイティブのまま混血していなかったそうで、とても驚きました。
センスのシンセサイザー(多分)が懐かしく、90年代半ばに戻されます(笑)

最初の方にどんと飾ってあったのは、映像でもいつも映っている「シガー黄金製大仮面」。黄金の飾りがたっぷりと付いていて、おでこの上の妖怪のようなのは舌を出して威嚇してきます。その下で王の顔は落ち着き払っていて、当時の(今も?)シカンの権力の在り方のようなものが、浮かび上がってきます。

去年行ったナスカとはやっぱりちょっと違いますね。黒色土器が印象的で、同じ様に生贄が多い社会だったようですけど、隨分落ち着いていると思います。彩色土器が志野茶碗だとしたら、黒楽茶碗にあたるでしょうか。
「ミニチュアの灰色土器の壷」がドラえもんのような造形で、頭の上から水を入れる仕様。両腕が顔なんですけど、それもまた可愛いです(笑)

発掘隊の成果を収めた映像が各所に配置されているのが特徴で、一種の報告会なんですよね。こういう映像を観ると雷にと言うほどではないですけど、全身に痺れのような物が走ったりしますので、我ながら結構好きなんだと思います(笑)
考古学はやっぱり何か、魂に訴えかけて来るような所があります。

シカン発掘の規模を大きさを如実に示すのが、大量に出てくる金属類らしく、特に金は豊富。「黄金のガラガラ」という音が出るガラガラがあって、おいしんぼの黄金の鍋を思い出させるゴーカさです(笑)ゴージャスなだけではなく、金の特性が生きた、柔らかい良い音がするに違いません。
「黄金製のケロ」は一枚の金から打ち出したコップで、彫琢も美しいし、姿が他では中々お目にかかれない雰囲気。やっぱりきれいでふんわりとした感じがするんですよね。

美術的に一番素晴らしいと感じたのは「高純度の黄金製の卵を抱いた蜘蛛」で、丸い卵をわさわさと集める様な蜘蛛のかわいらしさが素晴らしいです。つるつるした感じで、なんとも暖かな味があります。
かわいらしい女性が、こういう繊細な飾りを付けたら、似合うに違いありません(笑)日本の明治の金工でも、ここまで見事なのは中々無いと思います。

鉱物も豊富でトルコ石が大量に。面白かったのは「紫水晶」で、霊妙なワイン入り寒天のようでした。

最後の3D眼鏡をかけてみる巨大スクリーン映像も面白かったです。
遺跡を立体的に見られるので、これしかない、といったような使用法でもあったと思います。
車が向かってくるシーンがあったので、折角だから迫って来るようにしたら良いのに、と思っていたんですが、ターンしたときの土煙がこっちに向かってきたので驚きました(笑)

予算が結構大変だと思うんですけど、これからも発掘に精進してください。面白い展覧会を、ありがとうございました。

平常展も相変わらず楽しいです。今年は万年時計の横に、コアの部分だけ再現した物があって、遂に例のレプリカが完成したのかもしれません。東芝の方々はお疲れさまでした(笑)
恐竜の骨格なんかにも、感嘆いたしました。パンダの本当の味は大人にならないと分からない、は宇野先生の中でも屈指の名言だと思っているんですが、恐竜の本当の味も大人にならないと分からないかもしれません(笑)

目玉品としては、月の石なんていうものも展示していましたので、興味のある方はどうぞどうぞ。

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