五木寛之 仏教への旅 日本・アメリカ編

(2007年ごろに書いた感想に手を入れたものです)

ちびちび観て今、観終わりました。

浄土系仏教については半分キリスト教なんじゃないか、というような思いすら持っていたので、浄土真宗を軸にすえることで、仏教とキリスト教の対照が、鮮やかに浮かび上がったので驚きました。

似ているからこそ対比できる感じ。

戦国時代に来た宣教師たちはいわゆるお天道様が見ているという、天道思想をキリスト教に近いものだと感じていたそうですが、浄土系仏教の勃興にもそういった日本の思想の素地との繋がりがあるのかもしれません。

おっ、と思ったのは、アメリカの禅堂でアメリカ人の禅匠が「今、貴方の混乱は消滅しました」といって受戒させたことで、仏教的な感覚を持っている人なら違和感を持つ台詞だと思います。
つまり混乱というのは、煩悩即菩提とか大疑とか積極的な意味を持ちうるので、こういう場でこういう事はあんまり言わないと思うんです。日本仏教には本質的に混乱しないために、混乱を嫌うことすら嫌う文化があります。

アメリカでは禅堂という特殊な空間においても、陰陽の一体といいますか、マイナス面が意味を持つということが、あまり顧みられていないのだなと思いました。

混乱といと平静という風に分ける二元的な価値観が反映されているように思います。

仏教というと東アジアに普遍的にあるようですが、実際はどれも独特。

日本文化を日本菌なんて形容することがありますけど、日本仏教も日本仏教菌といえそうな不定形な所があって、これがどういう外形、もしくは内容を持って発展・伝播して行くのか楽しみですねぇ。

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