行って参りました。
当日は東博正面玄関には似つかわしくない行列ができていてやや驚き。
並んでいざ受付まで来ると、厳重な荷物チェックが!これで遅れていたんですね。
なんだろうなと思ったんですけど、隣国の国宝をあずかっているので厳戒態勢を布いてるんですね。
出品は
国宝 半跏思惟像 1躯 飛鳥時代・7世紀 奈良・中宮寺門跡
韓国国宝78号 半跏思惟像 1躯 三国時代・6世紀 韓国国立中央博物館
の二つのみですが、しっかり特設サイトやコラボ企画も存在します。
そもそもは悟りを開く前のお釈迦さまの姿として作られてきた半跏思惟像ですが、いつの間にか弥勒菩薩ということになったのだそう。
この像が流行った当時朝鮮は戦乱の世で、人々の平和への願いが込められているとのこと。
弥勒菩薩は56億7000万年後に世を救うために登場するとのことで、地球の歴史よりちょっと長い感じなんですね。
キリスト教で言えばキリストの復活(こっちはむしろ地蔵菩薩の役割か)や最後の審判による再臨に相当する宗教的要素なんでしょうけど、生きている間には来ないよと最初から言い切っている感じに仏教の誠実さというか肩の力の抜けたところを感じます。(ただすぐに再臨すると言いふらす新興宗教は多く存在しました)
韓国国宝78号 半跏思惟像 1躯 三国時代・6世紀 韓国国立中央博物館
は流麗な衣文が美しく、姿はしなやか。中宮寺のより背筋が曲がっていて、全体的に薬師寺東塔水煙などの飛鳥の天神を思い出させる感じ。
曲線だけで構成されているような造りで、古代の朝鮮美術は情緒的などと言われますが、こういうことなんだなと思わせます。
戦乱の時代に造られたにしては柔和です。
厚さ4ミリという薄さは技術的にすごいものであるとのこと。
国宝 半跏思惟像 1躯 飛鳥時代・7世紀 奈良・中宮寺門跡
は木造でがっちりしていてやや大きいつくり。
背筋がしっかりしていて、堂々とした印象。衣文表現は立体的で、全体的にカボチャの様なふくよかさを感じます。
この有機的な実在感と、来日作と共通する静かな清らかさが素晴らしいです。
主催者の言葉に、出品作に、平和への思いを何重にも感じました。
出品作が少ないからこその純粋で静謐な空気感。
二人の理想的賢人を対抗配置する会場も独特の緊張感があって、二体ですけど見応えのある展覧会でした!
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