は藤井聡太四段の番組というよりAIの番組の様相。世間の皆様も将棋よりはAIに興味があるのでしょうね。
藤井四段については取り入れたのはここ一年のことだと言いますから、そこまでクローズアップして意味があるのかという感じも。
今のところ将棋界、特に藤井四段に関して言えば、ふーんこんな手を指していいのか、といったなんとなくな影響がとても強いのではないでしょうか。
将棋界には自分では良い手だと思っていても社会的な圧力によって指しにくい手が存在するんですよ。こんな手を指すなんてわかっていないな、という無言有言の風評がたつ。
それは具体的な手でも存在するしそのベースの価値観としても存在する。
そういう規制がコンピューターにとって取り払われた感じがしますね。それはとても喜ばしいことといえるのでしょうね。
しかし29連勝目の相手の増田康宏四段はコンピューターの指し手を参考に雁木を選択したとのこと。各選択肢でも常にコンピューターだったらどう指すかということを念頭に置きつつ考えていたというのは驚きです。新しい常識が誕生しつつあるのか。
雁木が採用されるようになったのは飛先を交換されることをどうもコンピューターはマイナスだと考えていないらしい、という所から来ているみたいですね。
飛先の交換といえば升田幸三の飛先を交換する定跡の手順があまりにも有名で、まで優勢、と従来は解説されていました。
あれが飛先の交換は得であるとする価値観の一つの原点だった。将棋界はそれを伝説的手順と崇めすぎて価値観が曇っていたのかもしれません。人間の勝手読みだったのかもしれない。
升田幸三という人は結構そういう自分勝手なところがありますしね。
私も「雁木でガンガン」とか読みつつ、雁木の相手側を持った時に具体的な対策が浮かばないことはしばしばでした。しかしプロではまず採用されない。島朗九段がたまに裏芸で指すぐらいでしょう。
ただ飛先を交換できているので結局は良くなるだろう、というある種の信仰のようなものが将棋界全体にあったのだと思います。
番組後半は勝負手とAIについて。
コンピューターには指せない勝負手を放って不利な局面から逆転する藤井四段。
悪い手だからコンピューターには指せないという解説。
しかし課題があればコンピューターは研鑚を積んできそう。人間に対して逆転しやすい手をデータベース化して深層学習を重ねてくればコンピューターもそういう手を指してくるのかもしれませんね。
こういうことがあるからコンピューターを使った勉強を藤井四段に対して止めていたと師匠の杉本七段。
名人戦の新聞の将棋欄でも佐藤名人はコンピューターと指すことによって勝負手を指さなくなってしまったのではないかと指摘されていましたよね。勝負手はコンピューターには咎められてしまいますから。
練習相手としては要注意ということでしょうか。
人とコンピューターの狭間がなんとなくも浮かび上がった番組だったといえるでしょう。
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