は宮沢賢治について調べると必ず何度も出てくる謎の人物、保坂嘉内と賢治の関係を調査した特集。
宮沢賢治の作品の意味の分からないところ、違和感を解き明かしてくれます。
釈迦やキリストやトルストイのように人々を救済するために一生を捧げようと誓い合った仲で、賢治は以後そのままの人生を歩んでいくとのこと。
農林学校では嘉内作の百姓を讃える演劇を催していたとのことで、こういったことはすべて嘉内の影響のようです。
「銀河鉄道の夜」への影響は知っていましたが、あらゆるところのその影響が出てきている感じです。
賢治はトルストイの流れなんですね。調べるとトルストイはルソーの影響が強いらしい。
嘉内は皇室を転覆させる無政府主義者と解釈できるような文章を書いて学校を追われ、以後の人生でもそのせいで要職に就けなかったようです。どうもトルストイ自身が無政府主義的だったらしく、その影響がストレートに嘉内に出ていたんですね。
トルストイは自ら農業をしていた模様。また、エスペラントを学んだようです。
レーニンもトルストイを好んでいたらしく、そういう流れは共産主義に入って行くものがあったともいえます。
嘉内に戻れば、上野の帝国図書館での再会の詳細は資料が残っていないので当然この特集でも詩的に雰囲気を埋めていくだけですが、この番組のつくりを受けて、私が独自に推測すれば、賢治はたぶん愛の告白をして振られたんですね。そうであれば後の二人の行動の説明がすべて付きますよね。
「春と修羅」は意味が全く分からないなと思っていたんですけど、こういうことなんですね。
裕福な自分への負い目を修羅といっているのかな、などと考えてしまいますが全然違いますね。
多くの作品の裏に暗号のように嘉内への恋心が隠されています。
文語詩が引用されていましたけど、そういうわかり辛い所により隠されているようですね。
宇宙スケールの国民的文学が、こんなに禁断で個人的なものだったとは。
「風の又三郎」の赤いのも意味が解らなかったんですよ。嘉内だったんですね。
「銀河鉄道の夜」もほとんど妄想恋愛小説ですね。ケンタウルス祭は七夕のちょうど半年後の土星とケンタウルス座が出会う日で、嘉内と賢治の出会いを暗示しているらしい。
真冬の久慈までその星を見るためだけに賢治は旅行をしているとのこと。
「本当の幸せ」の中には「好きな人と過ごす」こと。すなわち嘉内と過ごす日々というのが含まれている、みたいですね。
それもまた思弁を離れて実際的な人の幸せが付け足されているということで賢治の幸せ観の重層性に寄与しているといえるのかもしれません。
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