続いて行って参りました。
作者不詳の「風俗画帳」は戦国時代のそっち系の気風が反映されている作品らしく、とはいえそれなりに穏当な作品なのですが、横の女子二人がきゃっきゃうふふと言いながら見ていました。
葛飾北斎の肉筆画の「若衆文案図」は娘の応為の関連がある可能性があるとのことで、応為らしさも感じられる精密さ。解説に陰影などでうまく立体感を出している、とありますが、見事。あとこの絵に特に言えて、浮世絵全般に言えることですが、服のたわみに合わせて模様をたわませたりするのがものすごくうまいんですよね。こういう描写は、特に明治以降の人は下手ですし、そもそもそういう細部をやる気のない人もいきなり増えているような感覚があります。
今回も春信の一連の作品が見事。「つれびき」の寄り添う感じが美しく、姿態も瀟洒です。「虚無僧」は本来女性の虚無僧と対になっている作品なのだそうですが、そういう人もいたんですね。その設定で時代劇をやってくれたら観るかもしれません(^_^:)
礒田湖龍斎の「蜘蛛の巣を払う男女」は縦長の柱絵に合わせた男性が女性を肩車している絵ですが、少しはだけているのが現在の漫画的なサービス。
鳥居清長の「やつし寒山拾得」は箒と文を持っているだけの男女で、何が寒山拾得なのか不明ですが、おそらく町でこのような持ち物を持った二人がいたら、寒山拾得だと冗談を言うような文化があったのではないかと推測。
葛飾北斎の「二人若衆」は貴重な本当に初期の作品ですが、すらっとしていなせな雰囲気はこのころからあります。
歌川豊広の「観桜酒宴図」は春章風の華やかな肉筆画。
奥村源六の「男女碁盤目遊戯図」は大和絵師と署名があり、これは春信が名乗っていたものですが、浮世絵師という名前が定まる前の呼び方のようでもあったんですかね。
喜多川歌麿の「逢身八契 お半長右衛門の楽顔」は当時あった40手前の男と14歳の少女の心中に取材した作品を描いたものらしく、男が人形で娘をあやしている姿に、何とも言えないものを感じます。
タイトルも非常に遊んでいる感じがありますよね。
今回ポスターなどに刷られている「三代目市川八百蔵の梅王丸」は写楽の唯一の後継者である歌舞妓堂艶鏡によってかかれていて、さらに近代的な印象を受けると解説にありますが、その通りだと思います。ちょっと前の国政のように流行ることもあるかもしれません。
横の歌川豊国の「三代目市川八百蔵の古手屋八郎兵衛」も写楽に近い画風で描かれていて、浮世絵界に大きな影響があったんだなと確認させられます。
歌川国芳の「達男気性競 金神長五郎」はNHKの番組で復元されていたものですが、こちらは当然ながら褪色しているオリジナル。しかしそれでも、ダイナミックな心意気はしっかりと伝わってきます。
後期展示も面白かったです。ありがとうございました。
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