ちょっと前に宇野先生がヤンセンは分かり難い演奏家だと言っていましたけど、実演では更に良さそうなのは聴いていて分かりますので、今度一度行ってみたいですねぇ。
ジャケットではとても高い(多分)ヴァイオリンを指先でつまんでいて、あっ、危ない、と思うと豊満な肢体から見下ろした視線が入る、という仕様で、なんとも個性的な路線。
編成は少ない人数で、ヤンセンの求める音、マニアックな追求が感じられます。
最初の主題からして力強いです。春というよりは、あそこまで極彩色ではありませんが、蜷川実花さんの写真に近い物があります。
編曲もかなり変わっている感じ。鳥の声とか入っています(笑)
途中の急に転じる所では、いきなり点火したように力強くなります。そして時に急にデクレッシェンドしていく音には、なんとも艶めかしさがあります。
田園はピアソラを聴いている様な気分になる位、不気味なうら寂しさが流れ出します。
第3楽章の演奏に良く表れていますけど、ヴァイオリンに微妙な粘り気ともいえそうな色気があるのがこの人の特徴。神話的な霞の向こうのような感じもします。
しばらく聴いていませんけど、ムターを格調高くするとこんな感じになるのかも知れません。
夏は息も絶え絶えな風景を描写したかと思えば、いきなり踊るように疾走し始めます。
細かく明滅するヴァイオリンがさんさんとした太陽を、凄く上手く描写している感じで、とても感心しました。
しかし曲に緊張感を与えるのが上手いヴァイオリニストです。
第3楽章では、勢いの中で音楽が軋んでいて、それが雷鳴の雰囲気を出しています。自在に高下を繰り返す合奏に、実に恐ろしさがあります。
秋での酔っ払いの描写は緩急が効きまくっていて、殆ど酔拳の世界です。
時にちょっと引きずるような表現が入っていて、宴の勢いと怠惰さが出ています。
第三楽章は今まで聴いた中で一番アクセントが効いている演奏。何か遊園地の船の乗り物にでも乗って揺られているような気分になります。
狩のリズムの念押しが勇壮で、ブリュッヘンが好きだというのが、意外と分かる感じかもしれません(笑)醤油ラーメンは進化したようです。
冬は歯を鳴らしているはずなんですけど、暑いですね(笑)気温のせいかも知れませんが。
身を縮めておどりかかるような感じです。リズムも実に切れています。
第3楽章の氷の上の描写もいかにも転びそうで、人の心臓に訴えかけるのがうまい弾き手です。しかもその破調に暴力的な所が、微塵も無いのが素晴らしい所です。
聴いていて、感想が勝手に出てくるのは、やっぱり非常に良い弾き手だからだと思います。疾風怒涛で、質感表現が上手く、嫌味の無い音楽です。
前例が無い感じの四季に仕上がっていると思います。何か映像を作っていたら、使いたくなるような箇所がたくさんありました。驚きますねぇ。
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