言わずと知れた超名盤ですが久しぶりに聴いてみました。聴いてみて思ったのはジャズっぽいんじゃないか、ということです。何でそう思うのかと思ったら、多分合わせようって言う心構えが希薄なんだと思うんです。逆にちょっとしたズレを楽しんでいる、むしろ作り出しているといった感じが随所でしました。
今の時代はあそこは合っていない、とかミスタッチだ、とか目で見える所だけを捉えて一々批判する人が多いですが、この演奏はそういう風潮に対する最強のアンチテーゼなのではないでしょうか。多分この演奏が揃いも揃っていたりミスタッチが無かったりしたら、ただの古い録音の一つに過ぎなかったのではないでしょうか。
技術と表現に関する議論は未だに至る所で聞きます。とりあえずは、このCDの三人が完璧な技巧は持ち合わせていない、というのは一つの事実といえます。近年はどんな分野でも最高の正確性を実現してから、さぁそれから、みたいな風潮がありますけど、私はそれはおかしいんじゃないかと思うんですよね。技術を鍛え上げた事で知らずに失ってしまうものというのは、時に自分たちが気が付かない程大きい事も有ると思うんですよね。
技術を鍛えたい人は鍛えれば良いし、そうじゃ無い人は違う道を行けばいい。そして聴く人はそれぞれの個性に寄り添って評価するのが、一つの理想なのではないでしょうか。
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