モーツァルト クラリネット協奏曲、フルートとハープの為の協奏曲 ベーム指揮ウィーンフィル

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最近のレコ芸は面白いですね。宇野先生の月評は二ヶ月連続でテンションが高くて楽しかったです(笑)特にプレトニョフのベト全の解説は丁寧で面白かったですね。僕が言うのだから間違いない、という言葉に宇野先生の自らに寄せる十全な信頼が読み取れます(笑)上岡も評価が良いものと悪いものの評価が極端で面白かったですね。インターネットでの議論では全て良いか全て悪いと主張する人が多くて、実際はどうあれ是々非々の評価が出来る宇野先生は流石です。上岡は聴きに行こうかとも思ったんですが、まだ青田買いの域を出ないな、と判断して行かなかったのですが、演奏が良かれ悪しかれ議論に参加することができるだけで楽しかっただろう、と少し後悔しました。いづれ図書館に入荷しないかな(他力本願寺)
それにしてもレコ芸は売り上げが微妙(若者言葉特有の婉曲な貶し言葉)だそうですけど、評者の指摘部分の幾つかをピックアップして付録のCDに付ければ、売り上げは兎も角雑誌の魅力自体が三割り増し位になると思うんですよね。手間はかかりますけど、音楽批評とそれを再批評する楽しさ、ひいてはクラシックの楽しさがより伝わると思います。

それにしてもこのブログは宇野先生をキーワードにしているにもかかわらず、余り宇野先生と関係の無い演奏ばかり上げて恐縮なんですが、宇野先生の推薦する盤はかなり聴いてしまったということなんですよね(笑)そもそも私の性格からしてもロマン派より古典派以前の物の方が合っている気もしますし。
私は曲の好みも結構有るんですが、指揮者にも普段あんまり聴かない人達がいます。ベーム、セル、ライナー、トスカニーニ・・・いや、偶然なんです、全くの(笑)特にベームは聴いているだけで背中の凝りが移りそうで避けてしまいます。勿論天才的なところも有るのですが、厳しい基準で忌憚無く言えば、まぁ、クラシックの凋落期に相応しいスターだな、というのが私の印象です。ベームの録音は音楽を聴き始めてまだ右も左も分からない頃に良く聴いたので、語れると思うんですが、氏の音楽の一番の特徴はその熱気ですね。普通熱気が有る指揮者というのは、例えばゲルギエフのようにやや散漫な印象になってしまうことも多いのですが、ベームはそういう人たちにも増して強力に熱く響きが硬質な為、のって来るとむしろ輝いて聴こえるのが特徴です。とはいえ、フレージングは生硬だし、音楽は常に窒息気味です。共演する事の多かったウィーンフィルは猛者の集まりですが、その猛獣達を四角い小節に封印して、箱詰め出荷している様な所が有ります。ここら辺が気にならない人にとっては相当良い指揮者なのではないでしょうか。しかし、この人周囲を固めるスタッフが豪華な事が多いんですよね。今回聴くのもそういう理由です(^^:)
プリンツのクラリネットは息の使い方が非常に上手いのではないでしょうか。クレッシェンドの滑らかに楽譜の記号を思わせる感じで折り目正しく上がっていく様を始め、本当に楽器を良く制御していると思います。オーケストラは第三楽章が一番良かったです。
フルートとハープの為の協奏曲はモーツァルトの楽譜が凄いですよね。特に二楽章のフルートとハープを生かすための伴奏であるとかは、まさに至妙だと思います。ハ長調の所が多くて、最近凝っているソルフェージュの練習もしやすかったです(笑)シュルツのフルートは最高に品が良く、特に音の抜け方が自然だと思います。
典雅でニュアンス豊かなんですけど、一方でモーツァルトの天真爛漫な感じが何処にも無く、穏当で平凡でも有ります。そう考えるとやっぱりこの演奏におけるベームの役割は大きいのかもしれません(笑)名人芸の一方、クラシックをつまらないと思っている人はこういう演奏が念頭に有るのかもしれない、と全体として思わされました。

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