有りましたので、借りて来ました(笑)
最初はショパンの「子守唄」ですが、音の綺麗なピアニストだと思います。
最近のショパン弾きではイム・ドンヒョクなんていう人が居ましたが、どれだけ世界が違うのか、と思います(笑)やはり、それぞれの国民性に近い演奏です。
「スケルツォ第2番」も美しい演奏です。
この人はタッチが流麗で、滑る様に進んで行くので、間に乏しい反面、ピアノならぬものを聴いているような気分にもなります。
ポゴレリチではあれほど不気味に聞こえた、和音の動きが、極めて優しく響きます。
技術も素晴らしいですが、メカニカルな上手さではなく、全体的に波が揺れ動いているような印象を与えます。
「英雄ポロネーズ」はやたらと絢爛に弾く人が多い曲ですが、辻井さんの演奏は自然です。
ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」は普通の演奏にも聴こえますが、遅いテンポと弱音を基調にした、デリケートで中々良い演奏だと思います。ルバートも良い感じでかかっています。この人はやさしい感情を出すのが上手いピアニストだ、と強く感じました。
「水の戯れ」は水が乱反射した様な煌びやかな雰囲気が、今まで聴いた演奏の中で一番出ているかもしれません。
自作にも「川」や「水」の付くタイトルが多いですし、音楽の流れにも波のうねりに似たようなものを感じます。辻井さんは、水性のピアニストといえるかもしれません。
タッチが明晰で、一音一音の独立性が高い所が見事だと思います。
自作もなかなか素晴らしいです。
「ロックフェラーの天使の羽」は小学六年生のときの作品だというのですから、天才的です。
純音楽として聴くとやや単調ですが。
「高尾山の風」の低音の動きが、ゆったりとした巨大な風を感じさせる様で、面白い感覚が有りました。
纏めますと、水と優しさ、ここら辺がキーワードではないかと思いました。ただそれが、超一流の個性に到達しているかというと、まだ中途ではないか、という印象も受けました。色々くっ付いていって、どんどん熟成していって頂けたら、凄いでしょうねぇ。
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