ただ券を貰ったので、行って参りました。ボストン美術館展以来、二年ぶりにインターネットの懸賞のチケットが当ったと思ったんですけど、多分人気薄なんですね(^_^:)現代美術ですからねぇ。
まずは千住博の「水の森」という絵を自然を模倣するように微妙に動かした作品がありました。この人の絵はそこまでインスピレーションを感じないんですけど、この作品は結局、この展覧会の中で一番良かったかもしれません(笑)
私はプロフェッショナルという番組が好きで、欠かさず観ているんですが、新しい分野の職業の人ほど、上手く自分の仕事と自然や伝統を結びつけて、説得力を得ていたりするんですよね。この作品にもそういうバランスの良さがあると思います。
綺麗で、ゆらゆらとして、変哲が無いようで、新しくもあり、と、街中に置いておくとしたら至適な感じの作品でした。
ジュリアン・オピーの「ペンダントをつけたキエラ」も良かったです。ただ女性を描いているだけなんですが、こちらに向かってウインクするんですよね。美人画の新たな地平を切り開くのかもしれません。
小島千雪さんの「リズミカルム、砂の陸」もなかなか。砂の陸の場面は、単調な風景で重低音が耳障りだったんですが、鳥や緑を微妙に加工して動かす所は結構良かったです。
映像っていうのは結構強い表現なんですよね。あんまり好きじゃないんですけど、それ以前にそういう事をいっている人を知らないので引くのですが、三島は「映画は想像力を越して、ただちに官能に命令する。 そこが危険なんだ」と言っていたそうです。実際に映像(映画)は人の思想を変えるための有効な手段、として使われることも多いので、私なんかは予てから映像に対しては一歩引いてしまう所があります。ので、そういう媒体でもって前衛的な表現をされると、自分の心を勝手に引っ掻き回される様で、もう見る気がしないんですよね。
バランス上、千住さんのもそうでしたが、液晶は基本的にこういうぬるめの表現をするのに向いているような気がします(笑)
強い表現ということでは中国勢が凄かったですが、グロテスクでちょっと駄目でしたね。なんまいだ、なんまいだ。
鷹野隆大さんの「電動ぱらぱら2002/2008(上半身)」がまたぬるい作品で、ほっとしました(笑)まぁ、脱衣を放送しているだけの作品なんですが、例の如く、男も出てくるのは失敗だと思います。ある場所に立つと自分の顔がスクリーンに映りこむ設計で、こういう自分で遊べる美術は好きです(笑)
ビル・ヴィオラさんの「プールの反映」は1977-79年に作られた作品で、プールに人が写っているのにプールサイドに人が居ないよ、という内容で、当時の前衛を知ることが出来ます(^_^:)作品はともかくとして、後ろからおばあさん三人組みが「これは綺麗みたいよ」と恐る恐る入って来られたのですが、中国での恐怖体験があったとすれば、災難だったと思います。主催者側はもう少し、内容に見合ったお客さんを呼ぶ努力をすべきだったと思います。
チケットに使われたフェルメールの「真珠の耳飾の少女」を再現して動かしたものは、作られた方がフェルメールが好きなんだな、という事が良く伝わってきました。
そこまで感動した、という展覧会では無かったので、文書も微妙に考えオチになってしまいましたが、たまにはのリフレッシュになる展覧会でした(笑)
恵比寿ガーデンプレイスでは他に千代紙の展示をしていて、見に行ったんですが、控え目な分こちらから入り込んでいって観られる芸術で、木の葉のような繊細な紋様に、秋を予感させるような美しさが満ちていました。
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