Bunkamuraザ・ミュージアム ジョン・エヴァレット・ミレイ展

#その他芸術、アート

券を頂いたので行って参りました。
ミレイは「英国ヴィクトリア朝絵画の巨匠」だとのことで、その絵は基本的に典雅で綺麗です。でも何やら革新的な事をやっては、大衆が付いてきたころを見計らって、次の革新に取り掛かって・・・という様なことをしていたようで、創造的ですし、絵を見る人たちの感覚を想像することが得意な人なんじゃないかな、という印象を持ちました。正直に書きますと、今まで行った展覧会の中で、圧倒的に妙齢の方が多くて、カルチャーショックを受けたと共に感動しました。なんと光彩陸離なk(以下略
「きこりの娘」はおんなのこが紫の服を着ていて、後ろのうさぎと共にかわいらしかったです。
「マリアナ」が強烈な色気を放っている作品で、青いドレスの女の人が立って腰を伸ばしている絵なんですが、それだけでなかなか魅惑的な雰囲気がありました。色彩に溢れていて、気だるい雰囲気が良かったです。

チラシに刷られている「オフィーリア」はやっぱりとても綺麗な絵でした。とはいえ真ん中に描いてあるのは口が半開きの死体であるわけで、こういう良くない意味で俗なギャップで受けているような気もしましたが、それを差し引いても良い絵だったと思います。浮遊感や、華やかなのに狭っ苦しい感じが印象に残りました。

ずーっと見ていくと、この人は場面設定の上手い作家だな、と感じることが多かったです。
「救助」は火事から逃げる危急の雰囲気と、子供を迎える母親の優しい感じの対比が絶妙ですし、「連隊の子供」は柔らかい白の天国的な色調と、戦争で負傷して寝ているという場面設定の対比がやっぱり上手いです。
「エステル」は豪華なドレスの女性を描きつつ、見つかったらまずい場面だそうですし、「北西航路」は老人と手を繋いだ少女が静かに本を読んでいるんですが、実は危険な航海の途上であるとか、優雅なのに背筋が寒くなるような絵が多かったです(笑)
題名に絵と同じ位労力を要した、ということもあったそうですし、この作家は絵の外にも非常に見所のある人です。
ただ、敢えて、色々かしこまりつつ言えば、見せ方が上手く賢いのですが、それらが器用の域を超えている様には感じなかったので、フェルメールに比べると秀才的な画家なのかもしれません。

細密描写が凄い画家で、一番ビックリしたのは「目ざめ」の毛布です。写真のような、写真と違うような、実在的な質感に驚きました。
一番印象に残ったのは「きらきらした瞳」で、赤い服を着た少女の聡明そうな佇まいが素晴らしかったです。展覧会のホームページに画像がありましたけど、やっぱりそういう雰囲気は中々伝わらないですね。
「安息の谷間」という、修道女が遺体を埋める穴を掘っているところに、美しい夕日が差している絵も良かったです。横にある花輪は救済を表しているのだそうです。
風景画ではスコットランドの水辺を描いた「穏やかな天気」が綺麗で、光過ぎない自然らしさがあって、惹かれました。

ヨーロッパの画家の展覧会に行ったのは、フェルメールに続いて2回目ですけど、それぞれの作家が強い個性を持っていることが、肌で、薫りで、感じられて面白いですね。

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