アリス=紗良・オット ピアノ・リサイタル

#その他音楽

衛星での放送です。
前聴いた時も思ったんですけど、この人の演奏は集中力が滅茶苦茶高いんですよね。
シューマンの「ロマンス 第2番」は名前の通りの曲だと思うんですけど、一音一音の意味を確かめつつ前進する感じで、所によってはかなり厳かに響きます。
左手の分散和音もテンポを微妙にずらしていて、扁平にしないことに執念を感じますし、クラシックはやはりそういう方向性に行くのが王道だと思います。

「なくした小銭への怒り」も良い演奏です。ベートーヴェンを弾くには繊細すぎる人だと思うんですけど、小品を軽やかに、ニュアンスとアクセントを上手くつけて弾いてゆきます。
子供がお使いに行くような楽しさが、裏側に聴こえます。

「ハンガリー狂詩曲 第2番」も極めて個性的。表情は豊かなのに、リストの土臭い感じがしないので、楽しく聴けます。
高音で揺れれば薄明が場を照らすようですし、強奏しても音が透き通っているのがいいですね。お見事です。
演奏を聴いていて、濃くて楽しい人なんじゃないかな、と思いました。真赤なドレスも含めて、素晴らしさの極みです。

「慰め 第3番」は静かな曲を沈潜するように弾いていって、真骨頂を感じます。
こういう沈み込むような弾き方がこの人の一番の特徴の様な気がしますし、ご本人も楽しいのではないでしょうか。聴いている方も楽しいですが(笑)

アリスさんは野蛮な人ではないので、前回のベートーヴェンは非力さが目立ちましたけど、今回は素晴らしかったです。本日「徹子の部屋」に出演されるそうですので、是非ご覧下さい。(12月10日(水)の19時からBSデジタルで再放送があるそうです)

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