衛星での放送です。
「ピアノ三重奏曲 第2番 ハ短調 作品66( メンデルスゾーン作曲 ) 」は構成が確りした感じの曲で、主題の変奏・反復が多いですが、ロジェのピアノはその描き分けが見事で、繊細な人です。
激さない洒落たピアノで、一般的なフランス風のイメージに近いのではないでしょうか。
小林さんのはきはきしていて、時に峻烈なヴァイオリンも良いです。それらを長谷川さんのチェロが、急所で身体を横に揺らしながら、抑制の効いた音色で受け止めます。
全体としてはたおやかな演奏で、ベレゾフスキーと仲間達の演奏と比べると、こちらがよりメンデルスゾーンっぽいのかもしれません。柔らかい分、心の起伏がより伝わってきて、どちらかといえばロジェ達の方が好きですね。
加賀友禅が川に流されて、たゆたんで居るような演奏です。
ロジェのソロの「ジムノペディ 第1番( サティー作曲 ) 」は、僅かに崩しつつ、感情の入った演奏。この曲は淡々と弾く人も居ますけど、こっちの方がずっと好きですね。
「ソナチネ ( ラヴェル作曲 )」はラヴェルの輝かしい音色が、細心の注意で呼び起こされます。滞らないで、しかも決してのっぺりとしない、玄人中の玄人のピアノといえるでしょう。
第2楽章の深い情感、第3楽章の音量抑え目の闊達な演奏も見事です。
再び三人で演奏する「ピアノ三重奏曲 ト短調 作品8 から 第3楽章 ( ショパン作曲 ) 」は曲の造りが精巧な感じで、呼び合ったり、繊細に合わせる所が多く、息を飲ませますが、三人ともお互いの間合いを計りつつ、情緒豊かな一つの音楽に纏めています。
終演後、舞台から下がる前にロジェが二人にキスしていましたけど、こんなフレンドリーな所がチームワークを支えているに違い有りません?(コンチキ……)
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