サントリー美術館 「巨匠ピカソ 魂のポートレート」展&新国立美術館 「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」展

#その他芸術、アート

行って参りました。
最初は行くつもりは無かったんですけど、ピカソが最後まで持っていた貴重が作品が今回特別にやってくる、ということを聞いて、限定品に弱いのか何なのか、俄然行きたくなりました(笑)

宇野先生が、もしかしたらモーツァルトを超えるかもしれない天才、というピカソですけど、ちょっと怖い絵なので、前日から不吉な感覚がして、当日は魔除けを兼ねて?白っぽい服を着て行った(^^;)のですが、なんと休館日。
あんまり腰が引けているので、ピカソに拒絶された・・・という事は当然ありませんが、失礼な事だと思い直し、日を改めて、大琳派展に行く前の精神状態を、意図的に再現して望みました(笑)

サントリー美術館では、有名な「自画像」がギリギリの悲壮さを纏った作品で、一つ前の冒頭に置かれた「カザジェマスの死」が注釈を加えます。この絵の蝋燭の灯火を通して見ている様な雰囲気が、一隅を包んでいました。「魂のポートレート」らしい展示構成で、ここからピカソの歩みが始まります。

「ピエロに扮するパウロ」は子供の朗らかな感じと、背景の重苦しさが微妙なバランス。「彫刻家」はばらばらな尖鋭的な表現に、恋愛中の明るさが入っている作品。
独特の画法は面白いのですが、あんまり悲壮なのは、私には少し刺激が強過ぎるかもしれません(^^;)

「アクロバット」は腰の上に脚が生えている、典型的なピカソ作品で、これがどういう印象を与えるかといえば、波長を合わせれば、自分の腰の上に脚がある様な気分になります(笑)
幻肢とは違いますけど、そういった様な、とても非日常的な感覚を強く味あわせてくれます。

「ヴェールをかざす娘に対して、洞窟の前のミノタウロスと死んだ牝馬」が芸術家独特の勢い余った苦悩が描かれている絵で、TKじゃないですけど、止めて貰いたいと思ったこともあったかもしれません。

晩年の作品のエリアでは、「接吻」が老境になっても止まらない情熱を示した作品。最初はこの作品の感想を書くつもりは無かったんですけど、どうも頭から離れません。きっと接吻している老人の髭の感触を、想像の中でリアルに感じ取ってしまったからだと思います(笑)

新国立美術館の方では、冒頭の「ラ・セレスティーナ」の青が陰惨な雰囲気で、其一の抜けるような青に感動してきたばかりなので、使い手によってこうも似たような色でも違う表現が可能なのか、と驚かされます。

有名な「マンドリンを持つ男」や「グラス、リンゴ、本」辺りは抽象的な表現で、ピカソらしい解体された表現が極まっていて、面白かったです。「サクレ=クール寺院」もリズミカルで重厚な作品。ここら辺は単純に楽しかったです。

ピカソといえばえろです。「女を陵辱するミノタウロス」がど迫力の作品で、凄かったんですが、結構女性が集中して見て行くので、どうも、そちらの方が気になってしまいました(笑)(すいません)

「朝鮮の虐殺」はピカソの社会的な絵の一つですけど、悲惨なだけではなくて、奔放な才気が込められていて、とぼけた味わいが残っているのが、平凡な同趣の絵とは一線を画した所です。題名が辛い物だとピカソの絵はぴったりとした名画になります。

チラシにも刷られている「ドラ・マールの肖像」が、私の一番好みの作品で、本能的に惹き付けられる華がありました。

他にも色々、様々な分野の作品がありました。ただ、表面的にはヴァリエーションが豊かなんですけど、
どれも同種の強烈な刺激を伴っている、という点では根本的な所の変化・進境が少ない様な気がして、途中で少し飽きました(^^;)とはいえ、ピカソの心はとても感じましたし、刺激にも参考にもなった展覧会でした。それに本物を前に入り込んでいくと、キツイ所もありますが、思い出して感想を書くのは結構楽しかったです(笑)

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