行って参りました。
最初にあったのは「智証大師坐像(御骨大師)」で、卵形だったという頭部が強調されています。手印は親指をくっつけない形で、近代の禅はくっつけているので、へぇ~っと思いました。これだけで、ちょっと違う感じですよね。
開山の智証大師の母親は空海の姪で佐伯氏だったそうで、仏教的に凄い家系といえましょう。
「不動明王像(黄不動尊)」がこの寺の至宝の凄い一品で、鮮やかさ、迫力が驚異的でした。それにしてもこの仏像もそうですけど、仏像は観て感動しても言葉が浮かばないことが多いです。何とか伝えたいし、是非観てもらいたいです(笑)
「泣き不動縁起(三井寺縁起)」は安倍晴明を描いた絵として、紹介の時に決まって掲載される絵巻。病気を偉いお坊さんから弟子に移すべく祈祷をしているのですが、晴明にして移すだけ、という所に当時の人の世界観が感じられるように思います。
一番格好良かったのは168番の「毘沙門天立像」で、胸を開いた力強さと共に、理性を強く感じさせる作品でした。余りの格好よさに、ずっと痺れています(笑)
157番の「千手観音菩薩立像」は一本一本の手先まで美しい作品で、ぼぼっと沢山生えた手に、生身の様な存在感がありました。
169番の「吉祥天立像」は優美で、171番の「阿弥陀如来立像」は凛然とした姿。104番の「不動明王坐像 盛忠作」は剣に力が籠った作品、と、どれも形容が難いですけど、素晴らしかったです(^_^;)
159番と167番の「不動明王坐像」が並んでいたのですが、167番は眉間の力が凄く、圧倒されます。一方159番は9世紀の古い作品で、迫力はさほどではないのですが、拝みやすそうな楽しさがあります。どちらも面白いですねぇ。
「釈迦三尊坐像 康温作」も完成された作品。丁寧に彫り込まれた衣紋。細かな裁金(金の模様)。全体を明るくする、額の水晶。仏像というのは、凄くバランスが良い彫刻だな、と思います。
「善女龍王立像 円空作」は荒削りな、木肌を感じさせる一品。近い形の作品が、何体もすっくと立っていて、円空の精神的な迫力を感じさせます。
高麗時代の「梵鐘」も、鐘にして繊細さを感じさせる、良い作品でした。
襖絵では狩野光信の作品が沢山あって、勿論上手いのですが、狩野派の形式に、個性が勝っていない気はします。とはいえ、蝋燭風の光りと、普通の光りで交互に見せる展示が素晴らしく、こうも違うのかと感動することはうけあいです(笑)
一番凄まじかったのは7番の「如意輪観音菩薩坐像」で、正法寺の秘仏なのだそうです。彫り方の柔らかさ、髪飾りを始めとした繊細さが、筆舌に尽くし難いです。秘仏らしく?プライベートな雰囲気を醸している仏さまで、寛いだ姿がなんともエロチック。何かじっと観てはいけない様な気がして、遠ざかっては、また観たくなって、接近して観るということの繰り返しで、暫くはこの仏さまの周りを回っていました(笑)好きな方がいらっしゃったら、是非拝んでいただきたいです。
最後に飾ってあったのはフェノロサの遺品。文化を作ってきた人、そして守って来た人の有り難さを身に染み込ませつつ、会場を出ました。運搬された方も含めて、展覧会に携わられた方は、ありがとうございました(合掌)
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