太田記念美術館 浮世絵動物園

#その他芸術、アート

行って参りました。

最近のスタジオパークは面白いですねぇ。
松本幸四郎さんが、住吉さんの「究極の身近さ」という言葉を褒めてらっしゃいましたけど、ぽんっと、的確な言葉が出てくるのが素晴らしいですよね。とはいえ、この回は幸四郎さんが自然に喋っていて、住吉さんはせいぜいまとめ役で、そのほかには、とても美人だ以上の事はなかったですかね。

幸四郎さんがいうには、歴史は小説家が作るんだということで、司馬遼太郎さんの龍馬の例を出されていましたけど、そういうことはありますよね。
龍馬伝は観ていませんけど、シーンの抜粋がテレビでちょろっと流れていて、剣術やって黒船に勝てると思うのかうんぬんかんぬん、と道場で叫んでいましたけど、あれは龍馬では無く竜馬だと思いますね。晩年の手紙に、先々の先なんていう剣術用語を書いていますけど、龍馬には晩年まで剣術に愛惜やまないものがあったと思うんですよね。さらに、そういうことも龍馬の人生の中で、交渉の端々などに、意識されていたのではないかと思います。

前に龍馬人気をもって、日本人の成熟拒否の姿勢の表れとする文章が新聞に載っていましたけど、竜馬はそうかも知れませんが、龍馬は実際は小栗流の免許皆伝ですし、学問も乙女さんに習っていました。それに、おりょうさんに小笠原流礼法の本を渡そうとするなど、品位を大切にしていたそうなので、龍馬は文化的な鍛錬を積んだ、成熟性を持っていた人だったと思うんですよね。

戦後のアメリカの日本アメリカ化(骨抜き)計画。日本人を伝統的なものから引き離す計画が上手くいったのか、消費社会、資本主義、自由主義のある面がそれを促進したのか、よく分かりませんが、明治維新以来の一貫したトレンドでもありましたが、戦後の日本には成熟拒否の風潮といいますか、伝統文化による成熟が視野に入っていなかったと思います。
そういう中で、龍馬を含んだ、伝統から切り離された「竜馬」という英雄が必要とされたのではないかと思います。

ちなみに、おりょうさんは僕はあれで良いと思うんですけどねぇ(笑)
海舟もおりょうさんが面会に来た時に、仕事と一緒に適当に鉄舟を紹介してしまえば、もと虎尾の会の同志ですし、おりょうさんももっと落ち着けたんじゃないかなぁ、思うんですけどねぇ。

それにしても太田美術館は、ホームページに出品リストが付くようになりましたね。
でもまだ、画像丸々だけですので、サントリー美術館のように文章のように打ち込んでくれると、もっと嬉しいですねぇ(言うのはただということで・・・)

今回のテーマは動物。歌川国貞の「風流調子婦絵 かん」は女性が懐に猫を入れている絵。国芳は常に懐に猫を入れていたといいますけど、こんな感じだったんですかね(笑)
鈴木春信の「風流五色墨 素丸」は寝ている人に紐を括りつけて悪戯しているいるものなんですが、春信はけっこうふざけている場面が多いですかね(笑)

広重の「月と兎」は広重の深みのある距離感が生き切った作品。団扇にしたヴァージョンも置いてあって、流石に綺麗です。
河鍋暁斎の「東海道 高縄牛ごや」は牛の上で子どもが肩車をして塀の向こうの大名行列を覗いている図。

「東海道五十三次内 大磯 をたハらへ四里」は虎と石が合体した動物が描かれていて、まわりがずっこけているという、極めて珍妙な作品。
「本朝水滸伝豪傑八百人一個 尾形周馬寛之」は大パノラマの作品で見ごたえがあります。横の女性二人もしばらくずっとみていたのですが、どうも中国の人だったみたいですね。
国芳といえば、この前鑑定団に出てきた品は良い絵でしたねぇ。

「和漢百物語 宮本無三四」のタイトルを見てはじめて気が付いたんですけど、武蔵って無二斎のパロディなんですかね??
「東海道名所之内 秋葉山」は大名行列の上の方で天狗たちが酒盛りしている図。世俗の権力の上で精神の自由を謳歌している、といいますか、暁斎の絵はやっぱり江戸の頃から政治的な傾向がありますよね。

歌川広重の「あわび さより 桃」は巧いとはいえ版画なんですが、それでも非常に魅力がある作品。写真とはやっぱり違うんですよねぇ。

歌川国貞の「時世百化鳥 風車にみみずく」は、子どもがおっぱいを吸っているのですが、かなり大きな子なんですよね。この時代はそうだったという話を聞いたような・・・・。

二代歌川国輝の「大集諸色の大さがり」は戊辰戦争の際の米の値段に一喜一憂する様を描いているのですが、かなり表情が生き生きとしていて、良い絵師だなぁ、と思いました。

歌川国芳の「蝦蟆手本ひやうきんぐら 三段目四段目」の解説によると、このころは「忠臣蔵のような道徳的な内容の」浮世絵が増えていたらしく、忠臣蔵って道徳的だったんですねぇ。

歌川貞秀の「蛸踊り」は蛸に日本の踊りを踊らせたもので、日本の踊りのくねっとした掴み所のない感じが出ています。

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