太田記念美術館 さくらさくら ~春の訪れ その4

#その他芸術、アート

鍬形蕙斎の「桜下遊宴図」は前にもみた気がしますけど、蕙斎略図の彩色版といった趣が愉しさの極み。

私も満開直前にお花見にいったんですが、オオシマサクラ以外は大体咲いていて、寛永寺の庭園跡である東京国立博物館の裏のエドヒガンシダレや正福寺桜とかとても綺麗でした。

かなり国際色豊かな感じになってきていて、歩いていて、もう中国語しか聞こえない、という単語がよぎりました(^_^;)

竹内眉山の「向島三囲神社の景」はあんまり聞かない名前の絵師ながらも、パノラマに当時の見たまんまを感じさせて心地良いです。

広重の「東都上野花見之図」は女性がずらずら立っている構図ながらも、瀟洒な一品。

当時花に歌を括りつけて、さらにそれに対して返歌を送るといったような風習があったらしく、渓斎英泉の「十二ヶ月の内 三月花見」は女性が男を踏み台にして括りつけている作品。

「大江戸のお姫様」(関口 すみ子)という本によると、明治以降芳年が江戸時代は男尊女卑だったとする錦絵をたくさん発表して歴史を塗り替えてしまった、とのことで批判されているのですが、どの分野でもこういった歴史の創造は結構あるみたいですね。この絵は逆の趣で、これが市場で支持されていたのでしょう。

明治以降の歴史・伝統の創作の様なものは多岐に渡っていて、現代の学者の間でも江戸時代像にかなり開きがある模様。やはり実際に浮世絵をたくさん観ることが重要で、そうすれば自ずと答えは残るのではないでしょうか。

吉原には桜が咲き誇っていたらしく、それを描いた一連のシリーズも。
ここらへんはこの前のブラタモリで理解が深まって、今回みても良く分かりました。
ただブラタモリは国技館であるとか都庁であるとか、ただの施設見学になると広報のようで面白くなくなってしまうので、たとえ施設見学をするにしても、タモリさんの好奇心を軸に組み立てて、そこから外れるところは外すべきだと思います。

広重の「東都名所 吉原仲之町夜櫻」は相変わらず素晴らしく、二点透視図法を使っているのだそうです。月を戴いた構図は現代的で、むしろその源流なのかもしれません。

広重は「京都名所」のシリーズも何枚か出ていましたけど、京都は行った事があるんですかね。

歌川国安の「東都吉原全盛櫻図」はこの美術館にしては珍しい借りてきた作品で、吉原の真ん中の桜を豪壮に描いていて外せなかった模様。

さくらを主題にした華やかで縁起が良さそうな展覧会で、こういうのはとても好きです。観ていて非常に楽しかったです、ありがとうございました。

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