行って参りました。
肉筆画では国貞の「打掛を直す美人」が梅の模様が迫真の肉筆画ならではの艶やかさ。国貞の作品は今回かなりの数がありましたが、どれもちゃきちゃきしていて生き生きとしているのが特徴。明治以降の美人画には見られない美徳だと思います。
鳥高斎栄昌なる余り有名とはいえない作家の「扇屋見世略」という作品がありましたが、三人の遊女達の背後に巨大な孔雀が。鳥派なんですかね?鳥文斎栄之の弟子である模様でウィキペディアも意外と充実しています。
名作は「高名美人見たて忠臣蔵 弐たんめ」で女性同士のやり取りの雰囲気が雄弁で、佇まいも柔和。草花の姿も美しいです。
国貞の「江戸名所百人美女 霞ヶ関」は大名家の令嬢を描いているらしく一目で豪華なのが分かります。
同じく「江戸名所百人美女 尾張町」は着物を新調した娘さんを描いていて、表情が非常に輝いています。
「江戸名所百人美女 木母寺」は文字をしたためている姿。浮世絵は文を書く作品は多いですし、遊女のみならず、文字を書いたり読んだ入りしているものも非常に多く、女性像として人気があったもよう。これも明治以降のものには余り見られないと思います。
「江戸名所百人美女 梅やしき」は広重で有名な亀戸の梅園を描いたものなのですが、女性の振袖の模様は菊で季節があっていないとのこと。浮世絵は季節感に意外と大らからしく、現代のように記号的に何月なら何の花といった具合に把握するのではなくて自然に自然に親しんでいたということだと思います。
「江戸名所百人美女 小石川牛天神」は茶。「江戸名所百人美女 赤さか氷川」は琴。「江戸名所百人美女 浅草寺」は茶屋の娘。「江戸名所百人美女 三縁山増上寺」はキャリア最高峰の大奥の人か大店の娘さんだそう。
「江戸名所百人美女 妻恋稻荷」は義太夫のお師匠さんで、碁盤の目柄の着物を着ていて、ちゃきちゃきしています。
同シリーズは他にもありましたが、実に種類が豊富です。
渓斎英泉の「当世好物八契 手紙」はやたらめったら差している鼈甲簪が高く、遊女以外にはなかなか手に入らないものとのこと。同じく「洗い張り」は洗濯のシーン。
英泉は笹紅を塗っている作品がなぜか多く、天使柄の洋風の帯を締めた変ったものもありました。「浮世四拾八手 ひゐきをたのしミにミる手」は観劇前のうきうき感が出ています。
他にも和歌を詠んだり養蚕や書画をたしなんでいるシーンなど、実にヴァリエーションが豊富で、文化的な豊かさを感じることが出来ました。ありがとうございました。
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