サントリー美術館 「もののあはれ」と日本の美 第八展示期間 その1

#その他芸術、アート

知恵泉の松平伊豆守の前編は島原の乱で、山本博文さんは、戦乱の世に戻してはいけないという思いだった、と解説。最近強調される権力の積極的な側面を島原の乱にもあてはめたものでしょう。

乱を収束、とあっさりとVTRで解説されましたけど、文字通りの皆殺しの結末で、この人物を智慧の象徴として扱ってよいのかという疑問すらよぎります。少なくとも番組はこの部分を避けるべきではなかったのでは。微妙に山本さんがフォローしていましたけど。

ただ、信綱としては、それ以前に何度も投降するチャンスを与えているということなのでしょう。

また、「天下泰平 日本の歴史16」((講談社学術文庫) 横田 冬彦 (著) )のあとがきでは、この残虐さを日本の国民性と捉え、日本特殊論に展開するような文章が書かれていますが、欧米の残虐さはこのような程度のものではないですし、中国史を観て行っても同じ事が言えるでしょう。それと比べると、権力側にも大名の斬首という裁きが下されて、公平さもあります。

今から見ると徳川権力は続いて行ったということになるのですが、やっぱり当時はまだ権力が定まっていなかった。そこを重くみるべきなのだろうと思います。重い処置のようですが、むしろ更なる混乱による犠牲者を防いだ側面も大きいのでしょう。

9月18日の天声人語は「よらしむべししらしむべからず」が、文脈から言って「情報を教えるな」の意味で書いてありましたけど、しつこい。いい加減「知らせることは難しい」という意味だ、というのは多くの人に知られているはず。最近出ている訳書を読めば書いてあることです。知らないとしたら知的レヴェルに疑問が生じる類のものだと思います。

堂々と調べもしないで書いて、自分の文章が何千万人もの人に読まれることの意味の自覚に全く欠けているのではないでしょうか。

「韓国 日本の世界遺産推薦に反対へ」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130918/k10014615561000.html)は韓国もそうですけど、日本国内でも劣悪な環境で資本に搾り取られた人がたくさんいるんですよね。そういう声を上げるべき人たちが声を上げない、もしくはあげづらい環境に日本があるということが非常に問題だと思います。

そして内外に指摘される前に、日本の政府はそのような要素を表面に上らせて議論をしなければならないのです。

製糸工場なども江戸期に近い時分は待遇がしっかりしていたそうですが、それは仁政の伝統がまだ残っていたからでしょう。日本政府は明治期に端を発する新自由主義的な政策を改めないと、未来はありません。

人権的な側面からはもちろん、「帝国を維持していくには、自由な人民、教育のある人民、喰うに事欠かない人民がいなければならない。だからこそわれわれは、社会改革を支持する。」(「チャーチル―イギリス現代史を転換させた一人の政治家 増補版」 (中公新書) 河合 秀和 (著) 67ページ)という言葉がありますが、自国民から吸い上げて、貧民を増やす仕組みは中流を崩壊させ、国力を著しく低下させてしまうのです。

3Dプリンターで銃が作れるのではないか、ということが問題になっていますけど、いよいよ外側からの規制ではなく、一人一人の意識によって作られる平和、ということが非常に重要になってきていると思います。そういう側面から観ても、中流が薄い、自暴自棄な人間を生み出しやすい社会構造はナンセンスです。各々が各々の得手、個性を伸ばせて、社会で役割を果たせる社会を作るべきでしょう。

それとともに「刀狩り―武器を封印した民衆」((岩波新書 新赤版 (965)) 藤木 久志 (著) )は良書ですので、これを読んで、過去の日本人の武器に対する節度や作法を学んで将来に継承していきたいところ。

9月20日のあさイチは能年さんがゲストでしたけど、選ぶ名シーンは結構最近のものが多かったですね。クランクアップして、やっと落ち着いて見られるようになったのでしょう。

9月19日のニュース9の最後では、経済の回復が日本のすべてを引っ張ってくれると期待します、と大越キャスターが言っていましたが、順番が逆であって、向き合うべき問題に向き合わないと経済も回復しません。一瞬見せかけることなら可能かもしれませんが。

その見せかけを批判するのが本来の報道のはずなのに、その見せかけに乗ってすべての問題を率先して忘れさせようとしているNHKの罪は極めて重いといえます。

9月19日のスーパーjチャンネルでは「消費増税対策で法人減税検討、復興増税分前倒し終了も=政府筋」(http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE98I00B20130919)をやっており、「被災地の反発が予想される」とクレジットを打っていましたけど、被災地の問題は日本全体の問題です。そのような意識がないことが非常に問題です。

ろくに被災地に遣わずにほとんど流用してしまっているのに、さらに被災地が全国の意図に反してお金を欲しがっているかのような、伝え方をしているのではないか。

同日の各局の夕方のニュースでは同時のトップニュースが流れ、すべて安倍の原発視察。情報があったとして、どれが一番ニュースバリューが高いかという判断は各々で異なってしかるべきでしょう。番組の編成も独自のものがあってしかるべきはず。自分たちで考えるということを全く放棄していしまっているのではないか。

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