タイムスクープハンター 第6シーズン 追跡!美男子コンテスト

「追跡!美男子コンテスト」で感じたのは、新聞の企画力ですね。今ではこのように全国的に巻き込んで何か新しいことをやるということはありませんからね。

そしてその強力な影響力で、勃興したての新聞社の、今のテレビ・ネットにも勝るかのような強盛具合を感じました。

一つのテーマは美意識の変遷で、少なくとも戦国時代から江戸期までは中性的な顔が美男子とされていたとのこと。火消がもてていたことでそれだけではない価値観にもフォローが入っているところもバランスが良いでしょう。

一方で明治の新聞社はもっと男らしい顔、「筋骨たくましく堅固そうな顔」を美男子と考えていたというドラマで、その一般社会との価値観の違いが描かれています。

明らかに軍国主義の影響で、そういった「気風」が新聞社を通して全国に広まったといえるでしょう。

白川静さんがルース・ベネディクトの「菊と刀」に触れて、花は好きだが刀の部分は本来の日本人の価値観ではない、といっていましたが、近代になる前は確かにそのようなことが言えたといえます。

生活的な意味での軍国主義の勃興を捉えた回とみることもできます。

こういう顔のつくりで思いつくのはベートーヴェンで、そういう意味でも近代の祖となる芸術家だな、ということを思います。

「江戸時代から続く美男子像が徹底的に否定されることになる」とのことで、代りに推薦された人は女性に「無口だし・・・愛想が無いし・・・」と言われていましたけど、これは昭和中期までの日本の典型的な男性像といわれていたものでしょう。こういったものがここから造られたことがわかります。

マンガなどで流通している美男子像を観ても、現代は江戸期返りしてきているといえます。

地方分権もそうですし、資源の有効活用や、歯止めを適切に持った開発もそうです。今はそこから遠いかもしれませんが、そういった方向に社会が振れようと力を蓄えているのは確かでしょう。

江戸期の価値観を内包しながら、一周回った高みとして、次の時代を表現することが必要です。

ということで出てきた男性は、牛島辰熊に似ています。当時はそれが美男子の基準だったのかもしれません。

不機嫌な当人に、好物を与えてなだめすかし、何とか撮影に漕ぎつけようとします。

しかしその瞬間、かつらと上げ底靴を着用していたことが発覚。

「これでは美男子とは言えない」との要さんの解説。私は男性アイドルはふさふさ率が高すぎると思うんですよね。絶対かつら・植毛の人がいるはずです。この解説はそれへのあてつけでしょうか(たぶん違う)

そのことについては、太田光とか北野武とかかつらネタを言ってしまう俺はタヴーに触れてしまうんだぜ、と言っている感じの人たちも触れないんですよね。シャレにならないからでしょう。そもそも人を傷つけるようなお笑いはダメですが。

それはともかくとして澤さんのようないじっても何の仕返しも来ないようなところを狙って悪口を浴びせるのは卑怯者と言えます。

テレビでは田宮二郎の自殺の原因が薄毛の悩みだったということが放送されたとのこと。
なので最近は植毛のCMを観て、人の命を救っているかもしれないんだな、という感想を持つようになりました。

最後は国の求める理想像に沿って鍛え上げた青年が登場し写真を送るも落選。その人は第一次世界大戦に出征して青島で足を失い、再び写真館で写真を撮っておしまい。美意識の向こうにある軍国主義とその結果を織り込んでいます。

お遊び回かと思えば、非常に奥が深い回でした。

しかしネットで予告動画を再生するとタイトルに間違って「解明せよ!戦慄の超常現象」が出てくるのがミスです。このシリーズは元の企画は良いのですけど、まとめるスタッフが甘いなぁ、という印象。

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