朝日新聞夕刊 大和をたどって

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「(大和をたどって:1)黒鉄の城が背負った「物語」」(http://www.asahi.com/articles/ASG2Q0NXSG2PUHVA003.html)は戦艦としての大和のみならずその背後にある日本軍と原発事故を比較した意欲的な特集。大本営発表的なこの新聞ですが、しがらみと関係が無い歴史的な記事であり、現代と照らし合わせて読めばいろいろと示唆的です。

大和の鋼板の厚さは数字だけであり、継ぎ目部分や他の古い鑑からの砲台の流用などがありそこから引火して爆発する可能性もあったとのこと。実際はずっと弱く、航空機に対して張りぼて的なだけではなくその建造の内実も張りぼてだったといえます。

発電効率が悪いという意味で張りぼてで内実も設計図と違って伴っていなかった原発とここでも二重映しになるところでしょう。

良く指摘される、機動性を優先したゼロ戦の薄さも結局は思想的な部分より物量に結論を帰すのが正統なのではないかとも思います。

海の底の大和は完全に破壊されているとのことですが、こういったキッチュなものを持ち上げるかのような「宇宙戦艦ヤマト」は本当に気持ち悪い作品だな、という思いが私は以前から強いです。

「(大和をたどって:5)巨砲に託した 組織の論理」によると、利権を削られると嫌なので、海軍はワシントン海軍軍縮条約に反対したものの、実際には数字の縛りが無いと国力の差が軍備の差になり、さらに悲惨な差になる。

なので海軍は、無理やり艦隊決戦を想定して大和を建造するしかなかったとのこと。

条約堅持派の加藤友三郎は江戸時代生まれで一方で対米7割必要だと強硬な意見を主張した加藤寛治は年下の明治生まれ。海軍内部の劣化、というのも大きかったのだと思います。

「そもそも、艦隊決戦が現実に起こるかどうかは分からないし、起こったとしても、実戦が想定通りになるかどうかは分からない。仮に勝っても、それで戦争が終わるとは限らない。

 それでも、海軍の主流派はその物語を信じて、戦争へ突き進んだ。それ以外に「対米戦に勝利する物語」を紡げなかったからだ。」

という無理やり紡がれた物語の話を聞くと、戦艦大和は現代の高速増殖炉もんじゅは全く同じ文脈をしょっていたのだ、ということがわかります。

「6」によると、まったく使えないわけでは無かったそうなのですが、燃料が無く、艦隊決戦を想定した軍部の固陋な考えに出番を失ったとのこと。加えて恐らく臆病も響いているのだと思います。

「7」は一隻も沈めていない大和に3隻も沈めたとの架空の戦果をでっち上げ「功績抜群艦」にした話。本当に働いた空母部隊を評価しないのと含めて、現代の原発もきっと「功績抜群」なのだと思います。

「既設原発については非常に収益率が高い」(http://blogos.com/article/86272/)と石破幹事長は功績抜群発言。

「8-10」はリアリティを失った空気の同調圧力で特攻する大和を描きますが、降伏という選択肢が無い。筆者の太田啓之氏も問わない構成が不満であり、当時と、当時と全く同じ状況下にある現代に吐き気がします。どうしようもない人たちだとしかいえません。

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