国立科学博物館 特別展 医は仁術 その1

#その他芸術、アート

行って参りました。

ドラマの仁とタイアップした本展覧会。

作品は未見ですが、「仁」という名前がちょうどよかったというか、かつての医学の特質や伝統を振り返る時に軸とするのにこれほど適当な言葉はありません。
当然医は仁術からの連想でしょうけど、素直な良い名前を付けられましたよね。

国芳の有名な「相馬の古内裏」が飾ってあって、巨大な人骨は解剖学の成果であろうとのこと。これはNHKの「額縁をくぐって物語の中へ」でも取り上げられていて、そこら辺に転がっている骨を観察したのではないか説は一蹴されていました。まぁ、本から取り出したのでしょう。

はしかは当時はきつい病で「見定め」「命定め」などと呼ばれていたとのこと。命の検品というか、宮本武蔵が竹の指物を振って不良品をはけた小話のように、これを乗り越えたものだけが生きていけるという感じだったのでしょう。

注目すべきは用語の使い方で「日本における医」という表現が多く、「漢方」という言葉がほとんど使われないのが本展の特徴。

漢方に留まらない当時の医学を紹介するのに適当な言葉で、清新な感じもします。

展示品の松浦家の書物入れには漢方も蘭学の本も両方区別なく入っていたとのこと。

何より漢方をやっている人は漢方は日本独自の医学であることをまず強調しますが、それをやらなければならないくらい実態とずれている用語だといえるでしょう。

中国との東洋医学の標準化競争も熾烈なようですが、そういう場でも漢方ではいまいち独立独歩でやっていく気概が入らないでしょう。

実際江戸時代の漢方は蘭学も独自工夫もたくさん入った独特のものになっているので、この展覧会で多く使われたように「和方」に改名しても良いくらいなのではないでしょうか。申楽を能楽にしたり、寺社番匠を宮大工にするよりは建設的な改名だとも思うのですが、、、、、。

相撲は日本を代表する武術がたくさんある中で、いち早く国技を名乗って興隆したことは有名です。それがまた権威主義に転化して酷いことにもなっていますが、その時代の戦略としては強かだったといえます。なにはともあれ、国を代表する医療なのだという位置を勝ち得ていく強かさは必要だと思います。

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