映画『あん』

は観ていないのですが、ハンセン病を扱った作品なのですが、治療法があったのに隔離されつづけた事実があるのに、映画を観ただけではそれがわからない作りになっていると聞きました。

らい病が隔離されていたのは、時代的なことだけではなく、治療法が確立され、欧米諸国などが隔離政策をやめた後もずっと、隔離され続けていたことが一番の問題です。

この作品を観て「らい病の人たちは運が悪かったね。」位にしか感想を抱かない人も多いみたいです。

そうでは無くわかりながら隔離をつづけた日本政府に責任があるのです。
これでは、このような主題を取り上げた映画として失格と言えないか。

これがどうかはともかくとして、政府に抗議したくないのに社会派を気取ろうとするのがそもそも間違えている、と言いたくなるような作品が多すぎます。

作中のエピソードで、樹木希林が演じる患者が雇われてアルバイトであんこを作っていて、非常に評判だったのですが、らい病の人が作っていると噂になり店が立ち行かなくなってしまった、というのがありました。

最近あった話ということでエピソードが作られていましたが、こういうことがいまだにあるのでしょうか。

ぐぐったらハンセン病の迫害の歴史を世界遺産にしよう、という提案をみかけましたが、その通りだと思います。賛成です。

追記:

ぐぐるとこういった隔離政策が続いていた理由についは色々。

入った人が施設から出られなくなっているからだ、という話が「国立ハンセン病資料館」のHPにあります。

昭和50年代まで施設に強制的に入れていたり、子どもまで堕胎させるようなことをしているわけですが、全くそういう理由からはかけ離れているように思います。

差別感情が理由、というのが、同じく「国立ハンセン病資料館」のHPも採っているスタンダードな理由ですけど、そんなに根強いものだったのか想像できないのが正直なところ。

所轄官庁は厚生労働省ですが、だいたいこういうのは利権絡みのことが圧倒的に多いです。調べると各所の利権を指摘する声もちらほらあるみたいです。そちらが本体ではないかと考えます。責任が追及されるべきです。

薬害エイズやアスベストや水俣病など他の公害事件と同じに位置づけられるように思います。

追追記:

7月5日のTBSラジオの「ハンセン病と戦争~隔離と差別の記憶をどう受け継ぐのか」という番組によると、特効薬が開発されて厚生労働省もさすがにらい予防法を廃止しようとしたのだが、療養所の園長などが延長を主張したとのこと。

ここら辺もまだ明らかになっていない所もあるとのこと。厚生労働省側もそういうんだったらそれでいいんじゃないかというような惰性の部分もあったとのこと。

園長というのは直接の利害関係者であって、それ以外にもやはり利権の要素をとても濃厚に私としては感じます。

無関心も悪くて、メディアの責任も重いのではないか、という話。

憲法学者などからもらい予防法が延長された時におかしいのではないかという声は上がらなかったとのこと。

(同日にはテレビでヘイトスピーチの特集をやっていましたが、これは事実上背後にいる政治家がやらせているといえます。その指摘が無い特集でした。

国連から勧告が出ていますし、これも再び憲法学者の人権の番人としての役割が試されている事例でもあるのではないか。)

堕胎などが戦後にも行われたことも語られましたが、聞き手の片桐千晶さんは知らなかったらしく、とても驚いていました。

インタヴューの受けた平沢保治さんはそういった経験から許しを学んだとのこと。差別の連続だったが、赦しの心で運動をやっていなければハンセン病がこのようになることはなかっただろうということ。

戦前の軍国主義の中で「役に立たない存在として隔離絶滅政策が取られたハンセン病」の戦後の体験がこのようなものだったそうです。

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