行って参りました。
曲目は
ブリテン: ヴァイオリン協奏曲
ホルスト: 組曲『惑星』
一階の売店では指揮のインキネンのCDを販売。ナクソスレーベルでシベリウスを担当していたみたいですね。
終演後のインキネンのお話会によるとインキネンはドイツのケルン音楽大学で同時期に庄司さんと一緒にヴァイオリンを学んでいて、のちに指揮法を学んだとのこと。
このお話会は終演後にあったものなのですがその時間の都合でしょうか。「惑星」が終わった後に拍手の中やたら皆さん帰られるな、と思っていたら、なんとアンコールは無し。珍しいことですが、皆様予期して帰られていたんですかね?
今回はインキネンがイギリス音楽に取り組みたいと思ったらしく、作曲家はどちらもイギリス出身。
ブリテン: ヴァイオリン協奏曲は珍しいですけど、ヤンセンの他にはヴェンゲーロフが弾いているらしくCDが売っていました。
プログラムによると作曲家25歳の時の若作らしくそれが演奏機会が少ない一つの理由になっているもよう。
プログラムの庄司さんを描いた絵がかわいい!!
第1楽章はイギリスの自然を思わせる雰囲気で涼やかで穏やか。明快なメロディーは出てきませんが、晦渋すぎるわけでもなく、テンポの良いリズムもあまりない中、なんとなく音楽が進んでゆきます。
私としてはあんまりブリテンにはイギリスっぽさを感じていなかったのですが、これはイギリス音楽っぽいですね。
その島を吹き抜ける風のように庄司さんのヴァイオリンは演奏されます。穏やかだったり時に強く、風圧や向きがアナログ的に常に変化するように、本質的な意味でデリケートに曲想を構築していきます。
冒頭がヴィヴァーチェ指定の第2楽章は熱く力強い曲想。激しいパッセージが多く、庄司さんの厳しい表情で弾き終わった後の渾身のピッツィカートではちょっと指が痛そうなくらい。
庄司さんは演奏のニュアンスが表情にとても出る人で、豊かでそれ自体が薫り高い芸術性を表出しているのと同時に解釈の注釈をしてくれます。
第3楽章は終楽章らしい精神的な高揚感がある曲想で、庄司さんの天にも昇るようなヴァイオリンの高音が場を包みます。まるでヴァイオリンを中心にどこまでも高い尖塔が蜻蛉のように揺らめき立っている印象。
庄司さんの特徴の、ネコ科の猛獣を思わせるような有機性がすばらしく、とても意味深く響きます。あたかも弦の振動の一つ一つまで調節されているよう。
全体的に散漫な印象も受ける曲ですが、ヴァイオリンの魅せ場も多く、特に庄司さんをソリストに迎えた今回は魅力的な部分が多かったといえるでしょう。
アンコールは、何もない平原に星が煌めくような、渋くも豊かな唄を感じさせる演奏。
スペイン内戦時軍歌:アヴィレスへの道
という曲らしく、厳しい状況下にある九州との連帯を曲で示したのかもとも思いました。
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