行って参りました。
恐らくテレビでも放送されたもので、どうせみるのなら大画面の音質の良いものをみよう、というような発想で応募。見事に当たりました。
会場はややすいた感じ。あんまり入れないのか定員が集まらなかったのか。いかに巨匠といえど無名の人のライヴより集まらないということなのか。
75歳のジャズの巨匠二人のライヴを追った番組。ライバルであり無二の親友らしい。ジャズに疎い私は名前を聞いたことがあるぐらいの事前知識です。
音としては、意外とバッハを連想させるもの。メロディアスではなく、不快な音も余り鳴らない。音が淡々と鳴り続けている感じがバッハっぽかったです。
プロコフィエフぐらいの塩梅ともいえるだろうか。メロディアスすぎてもハイソサエティ感に欠けるだろうし、不協和音ばかりでも面白くない。それが戦後の欧米社会で好かれる感じなんですね。
アメリカ社会で巨匠といわれる人は、本人たちが意図しているにせよしていないにせよ、伝統の延長線上に時代の空気を取り込んでいるのだな、というようなことを感じました。
ジャズはクラシックと全然違う「島」のようですけど、やはり時代で繋がっているのだと強く思わされました。
人種に触れるのは野暮ですが、あとやっぱり白人と黒人の二人、というのも魅力的なのだと思う。音楽の上でアメリカの理想を体現してくれている感じがしますよね。
音楽的にはバトミントンのタカマツペアを思い出させるようなところも。
チック・コリアは例えれば松友美佐紀。
主に高音を担当している感じで、ピアノを広く使って、ハイセンスな音楽を奏でる。
微妙に不協和音を入れるのが得意で、音楽に一筋縄ではいかない雰囲気を与えます。
60年代にはマイルス・デイビスとグループを組んでいたらしく、マイルス・デイビスの先鋭性を担っていた人なんだという感じ。
実験の時代の音楽の空気を背負っている。
対照的にハービー・ハンコックは例えれば高橋礼華。
主に低音を担当している感じで、非常に実在的な音色が特徴。
渋い情熱を纏った音色が、まるでミニマム音楽のように反復される。
このように現代のクラシックの2つの潮流を感じさせる2人で、ジャズというより現代クラシックの即興演奏を聴いているようでもありました。
この二人の掛け合いの妙で、一緒にやるとその先には宇宙が広がっているというのが二人の弁。
お互いがお互いを生かし合う稀有なコンビなのではないでしょうか。
渋くも内容が濃く、さすがにトップ・オブ・ザ・トップの演奏会だなと感じました。
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