クラシック倶楽部 パスカル・ロジェ, 小林美恵, 長谷川陽子トリオ・リサイタル

音楽

衛星での放送です。この三人は前回聴いて結構面白かったので、再び視聴。
新聞の記事によると、人の好みというの長期的に形成されるそうで、よくレコ芸でブラインド批評をやったらどうだ、ということを仰る方が居ますが、それは人の仕組みにやや反している所がある企画だと思います。
良いものでも長期的に聴いていかなくては分からない、ということはあると思うんですよね。悪いものも然り。
ただ、勿論それを乗り越えていくのがプロですし、そこが面白いのですが(笑)
私の好みもこの三人に対して、長期的に形成されつつあるのかも知れません。

曲は「ピアノ三重奏曲 ト短調 作品3( ショーソン作曲 )」。
ショーソンはフランクの弟子だそうですが、この曲はフランク的ななだらかな音楽の中に、叙情性が香る良い曲です。銀杏並木をずっと歩いていくような気分になります。

この三人は相変わらずバランスが良いと思います。
特に小林さんのヴァイオリンは、きつい感じの音で、きっとソロで聴いているとあんまり感銘を受けないのかもしれませんが、このトリオでは、音楽にきりっとした輪郭を与えています。
ロジェのピアノは相変わらず濡れていて、特にソロになると、余裕の色彩感が瀟洒です。

第2楽章はブルックナーの交響曲第7番の第3楽章を思い出させるような出だし。
第3楽章はチェロがひっそりと歌う、ノクターンといった感じの楽章。
ロジェのピアノは、音が少ない箇所に個性的な魅力がありますね。
不定形の二人の音楽の間を、小林さんのヴァイオリンがすすり泣きます。
第4楽章は短調が基本で、一瞬長調に移調する感じの曲(多分)ですが、単調な泣き節にならない所が良いですね。情感を湛えつつも、それだけで押さない様な演奏・曲はとても好きです。

番組後半はシューベルトの歌曲をフルート用に編曲したもの。シューベルトの良くも悪くも茫洋とした音楽を、冴えたものにしています。
シカゴ響の主席の人だそうで、低音域での中音量の加減がきれいでした。

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