この日はとても盛況で、活気のある浮世絵美術館もいいものです(笑)同好の人が居ると嬉しいですね。
菱川師重の「遊女立姿図」は師宣風の美しいフォルムに、流し目が特徴的で、湿った感じの粋を感じます(笑)
勝川春水の「花持つ美人」は一見平凡なんですけど、遠くから見ると、しなっとした雰囲気が思いのほか綺麗。手に持つ花は草のようで、絢爛で無い所にも惹かれます。
奥村政信の「文書く遊女」は素晴らしい作品。脇息にもたれかかる女性の雰囲気は風流そのもの。着物には赤と青が淡く使われていて、水に泳ぐ金魚を思わせます。地面と余白の境界が曖昧で、どこまでも続いて行く様な錯覚を起こさせる空間に、簡素に描かれています。名前はごつごつしていますけど、とても侘びた作者です。
勝川春章の「桜下花魁図」はタイトルから想像できるままの絵で、綺麗なだけなんじゃないかとも思わせますけど、その綺麗さが半端ではありません。明治神宮の花嫁の様なういういしさがあったと思います。
蹄斎北馬の「美人夕涼みの図」は背景が、ちっちゃくちょこっと月と鳥とお盆だけという、微妙な簡素さで、奇抜な印象。この人の絵は良い意味で人を喰ったようなところがあるなと思いました。
錦絵では磯田湖龍斎の「風流五色墨」が、体を捻りつつ、女性の合う視線に緊張感がありました。
鈴木春信は「見立草紙洗小町」の驚いた娘さんが、可愛らしかったです(笑)
渓斎英泉の「雪中三美人」は端然とした、歌舞伎の荒事のような構えで、とても美しかったです。たまにある、女性だらけの格闘ゲームを思い起こさせます。
今回の目当ては土曜講座で、講師は藤澤紫さん。春信と歌麿を比較した素晴らしい講座で、凄く勉強になりました。春信は男も女も顔が同じなんですが、歌舞伎の女形を研究していたので、色っぽく見えるそうです。歌麿が女性を良く描き分けているのも分かりました(笑)あっという間の一時間半でした。ありがとうございました。
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