最近ピアソラの曲を聴くのが結構楽しいんですよね。小編成を生かしきった隙の無い音楽と、その天来かと思われる絶妙のセンスが素晴らしいです。ピアソラといえば、私が音楽を聴き始めた頃には既に良い意味で古典的な扱いをされていた人でしたので、この前の82年の日本公演のテープがNHKの手によって破棄されていたという話には驚きました。ピアソラは偏見と逆風の中、その音楽の魅力と革新性のみで現在の音楽史における確固とした地位を築いた訳で、それは中途半端に伝統にしがみついている様な平凡な曲・演奏家とは格が違う道理です。
tanguediaⅢは堂々としたけれん味の無い曲。milonga del angelは深沈とした趣が一貫します。
曲通りにやっていても即興に聴こえるのがピアソラの曲の強味で、曲というのは普通の意味の曲では無く、ピアソラの即興のパターンを曲と呼んでいるのではないかと感じます。
concierto para quintetoは西部劇の半分廃墟の村を風が吹き抜けている様な荒涼とした雰囲気が素晴らしい曲です。
Milonga Locaは1:45辺りからの風を切って駆け抜ける様な音楽が力強いです。
Michaelangelo`70は速いテンポで一貫したがっしりした曲です。
contrabajisimoはコントラバスばかりで始まる序奏がユニークです。遅いテンポで低音の多い渋い曲です。4:50辺りからのはらはらとした感じが哀愁が有りますし、7分後半からの所も同じ様に見事です。Mumukiは言い淀んでいる感じの朴訥とした雰囲気が良いです。後半も少し盛り上がっては口を閉ざす事を繰り返している感じで、落ち着いていて居ます。最後もゆっくり消えていって、〆の曲として相応しいと言えます。
コメント