カルロス・クライバー指揮 シューベルト交響曲第三番&未完成 ウィーンフィル1978年

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シューベルトがこの三番を作ったのは18歳の時との事で、さすがは早熟の天才です。ブックレットにはクライバーはこの三番を得意とする数少ない指揮者の一人で有ると書かれています。

第三番は聴いた事が無いですけど良い曲です。一楽章の冒頭なんかも未完成で聴けるようなシューベルトのくぐもった薫りが早くも出ているのが分かります。一番良かったのは一楽章で、緩急が非常に巧妙で、ゆったりした所が有ったかと思えば激しい部分が来て、それぞれの曲調の転換のタイミングは人間の生理を的確に捉えて作曲されているなと感じました。少なくとも私にはぴったりでした(笑)それに比べると第四楽章はちょっと急の部分が多すぎて、僅かに単調でした。第二楽章は飄々とした叙情性が楽しいですし、第三楽章の舞曲のキレは極めて鮮烈でした。これは多分半分位はクライバーの素晴らしさなのだと思います(笑)

未完成は所々のピアニッシモが本当に小さくて、クライバーの表現意欲が感じられますし、聴いていても中々素晴らしいです。一楽章8:30ら辺の強奏が活きるのも弱音部を丁寧にやってこそです。クレッシェンドやディミヌエンドが極めて雰囲気に溢れているのも流石です。二楽章も抑制の利かせ方が素晴らしく、爽やかで趣が有り、スコットランドで朝霧に包まれて居る様な気持ちがしました(そんな体験は無いので予想)

演奏の優劣をつけるとすれば、3番がやや勝ると思います。忌憚無くいえば特に未完成はCDでしか聴けない指揮者になってしまった今、ムラヴィンスキーと比べてしまうと、活きの良い若者、位にしか聴こえないのが痛い所ですが、その外では中々匹敵する演奏を探すのは難しいと思います。ちょっとスタジオ録音特有の冷たさを感じるような部分も有りますが、これからも良く聴かれる演奏になると思います。

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