国立科学博物館 アンコール!特別展「世界遺産 ナスカ展-地上絵ふたたび」

#その他芸術、アート

面白いという風の便りが有ったので、最終日に行って参りました。やはり驚くべきは出土品の状態の良さですね。ナスカ時代は紀元前から始まって後期で8世紀なのですが、みんなつるつるで褪色もまるで有りませんでした。雨も降らなければ風も吹かない土地だったから保存が良かったとの事で、特殊な土地が齎した現代への贈り物といえましょう。
土器等のデザインも奇抜で、古代過ぎると逆に前衛的に見える事は、何処の芸術分野でもあることです。今の眼で見れば、ナスカの地上絵も地上をキャンバスにする発想が、現代美術っぽいかもしれませんね。
土器は最初はデフォルメを効かすのが好きな漫画家の絵みたいだな、と思っていたんですけど、だんだん首級が出てくる絵が多くなって来て、最終的には禍々しい印象が強く残りました。今「白川 静 漢字に遊んだ巨人」のシリーズが放送されていますが、氏が構想された古代中国の世界に非常に近いものを感じました。正体不明のシャーマニズムが支配していて、生け贄が捧げられ、戦争ばかりだったようです。
奇抜さも価値ですが、描写で一番感心したものを挙げると「酔っ払い」という作品で、顔が真赤に塗られ、酔った表情から雰囲気が出ている事この上有りませんでした。織物の鮮やかさも素晴らしく、驚異的でした。それにしても後期の特徴である、増殖型といわれる模様のカラッとした薄気味悪さは、中々印象に残りました。前期のものは類型化がまだ余り進んでいない感じで、平和な雰囲気もあるのですが。
最後に置いてあったナスカの地上絵を飛びながら見る感じのシアターは、とても楽しくて画面から伝わってくる浮遊感が体にぴりぴり来ました。

二部で詳解されていたシカンの発掘の話は、最近聞かなかったので僅かに心配していたのですが、まだ鋭意発掘が続けられているとの事で、良かったねぇと思いました。展覧会の冒頭の年表にシカン時代が明確に書かれていたので、やや驚いたのですが、学問的に確乎たる物になったということなのでしょうか。

同じ券で見られる通常展ではイベントでブータン展をやっていました。最近見ていた「五木寛之 21世紀仏教への旅ブータン編」がこれまた素晴らしく、ブータンへの興味が個人的に高まっていたのでアジャストで嬉しかったです。マニ車が有れば楽しいなと思ったんですけど、流石にそれは有りませんでした(笑)とはいえ、橋が架けて有ったり祭壇の様やお供えの穀物などが興味深く、面白かったです。民族衣装を着せてもらえるコーナーがあって、一人で行ったので、着せてもらって一人で喜んでいるのもどうかと思って着るのを躊躇ってしまったのですが、今になってみれば後悔の種です。勿体無い事を致しました。

他にも色々見ていたのですが、日本館の一階で地球館の二階に万年時計があるという情報をキャッチ!テレビの特集を見て、あらゆる技術を結集したその姿に感動して、是非一度見たいと思っていました。
平成十八年に重要文化財に指定されたとの事ですけど、科学的にも文化的な規模から見てもどう考えても国宝です。本当に(略。バブル崩壊以降、日本は足元を見つめざるを得なくなり、(正しく見つめたかは兎も角として)ちょっと前には「プロジェクトX」が有りましたし、最近では「老舗企業」といったものが流行っていますが、万年時計の重要文化財指定もそういう流れの一つなのでしょうね。
それにしてもテレビの特集で複製が間に合わなかったと言っていた、刀鍛冶の作った発条は結局複製できたのしょうか(笑)東芝は危ないですけど、万年時計は不滅です。

ナスカは強烈で驚きでしたし、科学博物館の収蔵品には自然の品の魅力が溢れていて、朝から閉館直前まで楽しかったです。

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