そごう美術館 生誕290年 木喰展ー庶民の信仰・微笑仏ー

#その他芸術、アート

行って参りました。
先週の日曜美術館の鈴木其一最高でしたね。私の美術系のブックマークフォルダの名前は、かなり前から鈴木其一です(笑)そもそも琳派が好きなんですけど、中でも其一は渋くて、作風が多彩です。
私は好きなものほど言葉の数を減らして行きたくなる人間なので、これ以上言うのは止めにします(笑)

昼食は流石に外でおにぎりはキツイ季節ですので、大好物の一の蕎麦を食べました(笑)そごうの上のやぶそばという所でしたが、店員さんの衣装が黒地に白の前掛けと、メイドさんっぽいんですよね。中々工夫があります。蕎麦の味は普通でしたが、良いお店でした。

行く間の電車の中では中島誠之助さんの「ニセモノはなぜ、人を騙すのか?」を読んでいたのに加えて、偽物を作り安そうな?木喰展ですので、すっかり「不信の領域」から出展品を見ていたのですが、すぐにそんなことは忘れてしまいました(笑)
それにしてもこの「ニセモノはなぜ、人を騙すのか?」は凄い本です。古美術に関わる人達のきったはったを書きつつ、そこから出てくる言葉は、古美術の領域のみならず普遍に到達しています。感性で真贋を見分けるということで言えば、古美術の世界のレベルは言語を絶する高さのようです。音楽を好きな方がいらっしゃったら、参考になると思います。

木喰展ということで、仏像が主だと思って来たのですが、書や絵も結構有りました。しかもこれが凄く良いんですよね。絵は基本が確りした上で個性を咲かせていました。書は基本的には豪放なんですが、わざと震わせて書いていたり、その時々で工夫が有って、デザイン性が凄く高いんですよね。Nスペの題字に使われたらとても映えるだろう、と思って、頭の中で曖昧な架空のNスペのオープニングが再生されました(笑)
梵字も好きで、その使い方は私にはやはり、漫画に通じる装飾性を感じるというのが素直な感想です(笑)元密教僧らしいけれんみのある型と、木喰さんのからっとした性格の取り合わせが生んだと思われる、一風変わった芸術だと思います。

個人的には、仏像で一番感動したのは薬師如来でした。如来の人の病気を治そうという優しさがとても自然な感じで出ていたと思います。続いて大黒様や、自身像も何故か瓢箪に乗っていたりして、気合が入っている感じでした(笑)
釈迦如来がちょっと変わっていて、独特の肉感のあるふっくらした顔と、天然パーマのふさふさの髪に、違和感と共にリアルな存在感が有りました。
日蓮上人なんかも木喰仏の温和な雰囲気で、新鮮さが有りました(笑)

書いていて思うんですけど、やはり仏像についてはその感想は言葉にはしにくい感じです。一体一体面授面授と言った感じで・・・ありがたいことです(合掌)

どの像も素朴ながら驚きの造形力で、横の人が「こんなのがどんどん彫れたら楽しかっただろうね」と言っていました(笑)木喰が晩年になっても創作意欲が衰えなかった秘密はここら辺に有ると思いますし、正しい行の持つ一面の自然さ・好循環を示していると思います。

日本美術も色々観ましたけど、やはり滋味ということでは、仏像が一頭地を抜いていますね。仮にとはいえ、美術と言うのも恐縮ですが。
時間の都合で二時間位しか居られなかったのですが、少し時間が足りなかったかもしれません。良い展覧会を有難うございました。

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