レッドクリフ Part II -未来への最終決戦-

宗教・思想・哲学

映画をただで見られる券を貰ったんですけど、それ程観たいと思うものもなく、三国志なら内容はどうあれ、ある程度の楽しさはあるに違いない、と思って観て参りました。
三国志は以前は相当詳しかったんですが、今は結構怪しいです(笑)あれ?曹操って小喬を狙って呉に攻めてきたんでしたっけ(違う)

司馬遼太郎は、中国の歴史はだんだんつまらなくなる。儒教が普及していったからだ。という事をよく言っていました。

2020年の今追記すれば、私も結構最近までなんとなく「なるほどだから三国志は躍動していて面白いのか」と思っていたんですが2019年に東京国立博物館で開催された「大三国志展」とそれに関連した種々の読み物によれば三国志以降の時代になると伝来した仏教であるとか道教が栄えるようになり、逆に三国志の時代というのは儒教の行動規範が中国全体を規定していた最後の時代なのだそうです。儒教が躍動感を失わせたというのはとんだ濡れ衣だったわけです。加えて儒教がだんだん普及していったという史観にも疑問符が付きます。

当然庶民への浸透度という要素はあります。
ただ、三国志の主な登場人物は春秋左氏伝を諳んじていた関羽をはじめ教養のある人物が多いと思います。

恐らく宋学以降の儒教の変質というのはあるのかもしれませんが、それにも長所があります。少なくとも孔子のころの原点に帰れば儒教と野性味というのは共存するものだということが三国志によって証明されていると考えられます。

確かに三国志は面白くてそういう意味では中国史はだんだんつまらなくなっていったのかもしれませんが、それは中国においても「命の価値」がだんだん上昇してきており、富も蓄積されて行って暮らし向きも良くなっていったからではないかと考えています。
それによって命を懸けたハチャメチャな行動を取る必然性や動機が減って行ったからではないでしょうか。





三国志のころは戦乱前で人口も多く、文明も爛熟して来ているので、ある種のピークの面白さがあると思います。
もっと後になると戦乱で王様が変わっても、実際に取り仕切っている実務の人達は変わらない、挿げ替え人形の様な感じになっていって、あんまり緊迫感は無かったのだそうです。

映画は金城さんの熱演が光りましたねぇ。大体孔明の役は大変で、そもそもこの人が孔明です、といわれて孔明に見えるかどうかがハードルが高いんですよね。金城さんはちゃんと孔明に見えていたので、それだけでかなり素晴らしい演技だと思います(笑)

いきなりサッカーシーンから始まって、ビックリしたのですが、蹴鞠なのだそうです。民明書房か何かの起源説かと思いましたが、考古スタッフも一応付いているようですので、どんなものなのでしょうか(笑)
大坂城物語を見に行くような気持ちで見に行ったので、何があっても気にはなりませんでしたが(笑)

魯粛の好人物振りが日本のマニアの間でのイメージと変わらなかったので、中国でもやっぱり同じなのか、と思いました(笑)
映画はあんまり観ないんですけど、映画の文法みたいなものが詰っているような感じでもあって、色々へぇ、とも思いました。間諜の女性が着ている布に敵陣営の地図を写し取り、帰ってきて披露するのですが、場を持たせる工夫が素晴らしいと思いました。
無理矢理にも、なんとなく見せてしまうパワーが、昔の日本映画っぽいかもしれません。

孫権の余りの影の薄さと、大喬が出てこないことが不思議だったのですが、後者はキャストの事情。前者は物語を周瑜に集中させて分かりやすくしていました。
曹操の台詞ですとか、本人の詩からの引用だったり、マニアが楽しめる所もあります。

有名な演義の十万本の矢を調達するシーンは、実写ですと迫力満点。金城さんの余裕の演技がすばらしいです。とはいえこのシーン。昔から火矢を撃たれたらどうするのだろう、という疑問が消えないのですが、濃霧だから大丈夫なのですかね(無理?)

周瑜が剣を披露する所も中々美しかったです。以前海外制作の番組で武術特集をやっていて、日本の剣と中国の剣を静と動の対極として紹介していましたけど、周瑜の華々しい剣は、殺陣的な中にもちゃんと中国らしさがありました。

「三国志Ⅳ辞典」という本には赤壁小戦説というものが載っていて、根拠としては重要な武将が誰も死んでいないことが挙げられているですが、今回も死んだのは荊州水軍の人たち等を除けば、オリジナルキャラでしたね。戦略の局面で既に勝負がついてしまっていた、ということはいえるかも知れません。

キャストは二転三転だったそうですが、監督が現代社会とリンクさせて書いているというので、自由に思った事を書いてしまえば、印象的だったのは最後のシーン。戦いの中で真の友を得た、次に会うときは戦場だ、ということで、十センチ位の顔の距離で熱い問答を交わして、孔明と周瑜が別れるのですが、役者の国籍である日中を重ねないわけにはいきません。
ヨーロッパが戦争を繰り返しつつも、今EUとして纏っているのは、共同軍としても戦ったことがあるからだと聞きました。お互い切磋琢磨するにしても、日本と中国にもそんな体験が必要なのではないか。監督の中にもそういう考えがあって、それが表れたシーン、映画だったのではないかと思いました。

スマートに人を納得させる映画ではないかも知れませんが、パワーと雄大さ、古典に根ざした中国の世界観、厚い友情を感じさせる映画でした。三国志は良いですねぇ(^_^)

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