日本橋タカシマヤ 細見美術館開館10周年記念展 日本の美と出会う-琳派・若冲・数寄の心-

#その他芸術、アート

行って参りました。いかにも良さそうな展覧会で、実際良く、すっと見てしまいました(笑)

最初は琳派の方々。
渡辺始興の「白象図屏風」は象のちょっと窮屈そうな格好に、微妙な味が。
尾形乾山の「色絵唐子図筆筒」は異国情緒漂う作品で、作風の多さに、乾山が抱えていた職人は一体どんな腕を持っていたんだろう、と不思議になります(笑)

鈴木其一「糸瓜に朝顔図」は、たらしこみで描かれた糸瓜が、生命力溢れるアドバルーンのようで、素晴らしい存在感。朝顔の鮮やかさも、素晴らしいです。
酒井抱一の「桜に小禽図」は葉桜を描いていて、その控え目な鮮やかさに、江戸情緒の真髄が香ります。

尾形光琳は「墨竹図」は簡素な図なんですけど、このぼやぼやした感じが、やっぱりとても好きなんですよねぇ。光琳は中々不思議な絵師です(笑)

伊藤若冲は先駆けて収集したそうで、名品揃い。初期の作品の「糸瓜群虫図」は遠目で見ると、鑑定団で江漢の偽物として出てきそうな絵ですが、細部の生命力、枯れ方が凄いです。虫の植物に絡み付いていて、落ちそうで落ちない感じも良いです(笑)
「花鳥図押絵貼屏風」は波の飛沫をそのまま貼り付けた様な、自在な筆致が凄いです。鶏は厳かで、鉄の精神力を感じさせます。

葛飾北斎は観る時に応為の筆が入っているか、いないかを確かめる習慣があるんですが、代表作の「五美人図」の明快な美しさに、応為の雰囲気が感じられたかもしれません(笑)
「夜鷹図」は状況の大変さに、北斎の筆が醸す存在の美しさの対比が最高です。北斎は結構こういう名品が多いですよね。

「やすらい祭り・牛祭図屏風」は被り物を使った、思い切ったお祭り。昔のお祭りを記録した絵巻を見ると、お祭りというよりは仮装大賞で、面白いです(笑)現代のお祭りには、圧倒的にお笑いの要素が足りないのかもしれません。このお祭りだったら、遠くまで観にいきますねぇ。

焼き物のラインナップは、かなり素晴らしかったです。
志乃茶碗 銘「弁慶」が一目見ただけで涎が出るような美しさで、その姿は練乳が盛り上がったようです。三国志で趙雲は「一身是胆なり」と言われていますが、この茶碗は「一身是練乳なり」と言いたくなります(^_^;)

「芦屋松藤図真形釜」は茶色の釜で、その質感はバニラアイスを思い出させます。この面白さをなんと表現すれば良いのか、、600年物の南部煎餅という感じでしょうか(^_^;)

「織部梅花文角鉢」も思わず、これはこれは、といってしまう出来で、ゆるい描写の幾何学模様が絶妙。素朴さと品の良さのバランスが良いです。

単庵知伝の「梅花小禽図」はこの前の牧谿と同趣向の絵。線が集まったような牧谿と比べると、丁寧な絵になっていて、鳥の僅かに湿った質感を感じさせます。
中安真康の「虎溪三笑図」は笑っている三人の、それぞれの奥の人間性を感じさせる描写がお見事。
笑っている時の顔、というのがその人の人格にとって、とても重要なんじゃないか、と感じる今日この頃です(笑)

「男女遊楽図屏風」も江戸初期の混沌とした感じが伝わる、素晴らしい屏風。中下段の少女の佇まいに惹かれました。

美術館の方が映像で、琳派は日本美術の本質が伝わってきたもの、というような事を言っていましたけど、そういう感じはとてもありますよね。
京都の方向にも通じますし、浮世絵の方向に流れることも出来ますし、琳派は王道で、やっぱりとても好きです(笑)

室町時代に強く、文化を伝える屏風が多くて、琳派・若冲といった所が充実している、京都らしい美術館だなと思いました。先見性と京都的美意識が連結したような、素晴らしくも活きの良いコレクション群でした。是非また東京で開いてください(笑)

コメント

タイトルとURLをコピーしました