券を頂いたので、行って参りました。
42階からの眺めが素晴らしい美術館で、東京の街に愛着がある人はどうぞどうぞ。
最高傑作は「みる人」。広重よろしく中二階っぽい、ちょっと高めの視線から描かれているのですが、絵を観ていると思われる、屈んだ女性のぱ○○が視えている所が、視覚のマジックです。ちなみに「視」という字は、白川静さんによると、神霊のたち顕れる形だそうです。
基本的には広重路線の人のようで「富士をみる人」は大きく描かれた富士ではなく、みる人が画題。広重の絵も実はみている人が主役のような所があるので、広重の風景画のタイトルの多くは、主役を直接に書かないワンクッション置いたものなのかもしれません。「亀戸梅屋舗(で梅をみる人)」といった感じでしょうか。縮小コピーだと広重の人は途端に見え難くなるので、興味のある方は是非本物をどうぞ。
ちょっと逸れましたけど、現代人の活気のなさが印象的な作品群で、「動物園」の一連の作品も、そういう流れで括れる物でしょう。とはいえ無理矢理江戸時代っぽい躍動感をつけた、現代絵師による浮世絵を観たことがありましたけど、やっぱりちょっと無理があるんですよね。
その他では、東郷青児は宇野先生の否定的言辞と共に聞く事の多い名前ですが、そういわれると表面がつるっとしている割には、鈍重な印象かも!?(呪い)
お目当てはゴッホの「ひまわり」。明るさとゴッホな感じが混じった絵というイメージでしたが、実物はどちらの印象よりも、青い透明感が感じられる絵。
この美術館の有名な宝だけあって、荘重に飾られているのですが、あの空間、光り、がこの作品にとって最善かといえば、ちょっと遠い気がします。美術館には個人的に展示方法の改善を求めたいです。
同じくセザンヌの「リンゴとナプキン」は机の土っぽい重厚感が印象的。背景の青と共に場末な意味での臨場感を出しています。
ゴーギャンの「アリスカンの並木道、アルル」は並木道を実際に進んで行くような絵で、木のぶれた色彩は進んで行くときの視界の揺らぎのようです。
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