野球体育博物館 企画展「野球のポスター展」

#その他芸術、アート

券を頂いたので、行って参りました。
行ってまず感じたのは少し暑い事で、ちょっと暖房を抑えた方が良いのではないでしょうか。

去年、パ・リーグのクライマックスシリーズの予想をテレビでやっていて、いきなりゴッド・ファーザーのテーマが流れたので、何かと思ったら、かねやんが登場して吹いたのですが、本人は堂々の名プレーヤーで成績は驚異。往年の名プレーヤーの部屋の中でも真ん中にどかんと柱が据えられていて、等身大の写真の眼はいてもうたろか、と語っていました(笑)

ちなみに、1963年のオールスター戦の映像が流れていたので観たのですが、シルエットが滅茶苦茶ダルビッシュに似ているんですよね。二人とも独自の方法論をたくさん持っているようで、理論家で似た感じなんでしょうね。
しかしこの1963年のオールスターは豪華で、この頃と今が一番レベルが高いのではないでしょうか。野村の横に揺れる歩きが老人特有のものではなくて、昔からだということも分かりました(笑)

野球というと思い出すのは宇野功芳先生で、ここ十年でメジャーリーグの内野の守備などを観た人から、野球の芸術性ということが盛んに言われるようになりましたが、宇野先生の名指揮者ベストナインなど、野球の話はそれに先駆けたものだったと思います。
鉄道なんかでもそうですけど、こういう他分野と共通するような美しさを尺度に、音楽の世界を評論していることが、宇野先生の大きな長所だと思います。

企画展はチケットには特別展「プロ野球2リーグ制60周年展」と書いてあったのですが、時期がずれてポスター展に。
それにしても2リーグ制といえば、古田は凄かったですねぇ。テレビを観ていて、トランペットの音色が高らかに鳴ると、古田が登場するといった感じで、信義を尽くした人間の格好良さがありました。

偶然にも、古田という人材があの時期にあのポジションに居なかったら、野球界は一リーグ制になって、どうなっていたか分からないと思います。
しかし、古田がいたことともう一つ大事だったのは、古田の側に理念があったということではないでしょうか。やっぱりおかしい、と何度も首を捻っていましたけど、一リーグ制になるのはおかしい、良くない、という理念の正しさがあったからこその、あの交渉の勝利でもあったと思います。

こういう眼で日本の歴史を観て行きますと、白川静さんがいうには、神話は最後には形を変えるらしく、中国の神話は「経書に改変され」人々の規範になったそうです。一方で日本の神話は歴史化され、「国家神話」になったそうです。
中国の例が良いとも仰っていませんが、「そこには理念的なものが無い」(中国の神話 330ページ)と日本神話の理念の無さ、優れた発展の不足に疑問を持たれている様に読めると思います。

司馬遼太郎さんは明治維新に理念がなかった事を非常に残念がられていて、もう少し早くルソーの思想が入ってきて、その思想でもって明治維新が行われていれば、と言っていました。結局ルソーの思想は根付く事なく、民主的な国家を確立できないまま敗戦を迎えたわけで、かなり致命的だったと言えると思います。

また、バブルが起こったのも、何も残さなかったのも、お金を使う方向性に理念が無かったから、とも言えると思います。努力をしても、理念が無かったが為に、良い方向に発展できなかった、ということがこの国には非常に多いと思います。

一方理念の国といえばフランスで、フランス革命は非常に問題が多かったですけど、結局、高い理念を掲げて突っ走ったことが、今日の国力を超えるフランスの国格の高さを形作っていると言えると思います。
一方現代の日本の理念といえば「友愛」ですが、これが理念としてどの程度の働きをするか、私も良く分からないんですが、折角だから一度、高い理念を掲げて突っ走って行くことが、この国には大切なことなのではないかと思います。100パーセント成功が待っている訳ではないでしょうが、長い眼で観た時にプラスになる確率が高い、悪くとも次代の肥やしになる、と僕は思います。
(2010年 弥生)

他には、野球いろはがるた、なんていうのもあって、これは今のプレーヤーでも作ってみたいですね(笑)
日本最高の投手の話をすると必ず出てくるのは沢村ですが、どうも同時代の人たちの証言によれば、球速は同じ位でもスタルヒンの球の方がずっと重かったそうです。
波乱の人生を紹介したNHKの講座も素晴らしくて、関心のある人だったのですが、かるたの歌は、ニコニコと笑って投げるスタルヒン。
WBCで岩隈が失敗しても笑っていたのは、それが心理学的にメンタルに有効だからだ、と聞きましたけど、名投手スタルヒンも似たようなことを自然にやっていたのかもしれません。
むちゃくちゃに振って青田はヒットする、なんていうのも面白かったです(笑)

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