千葉市美術館 伊藤若冲 アナザーワールド 後期

#その他芸術、アート

リピーター割で、行って参りました。

最近は時期柄だけあって、戦争の特集・特番が多いですねぇ。でも少し気になるのは、アメリカの人のインタビューを集めてきて、論評して終わり、といった感じのものも多いことで、そういうものも重要なのですが、日本の国内の問題として捉えていくのが、一番の本筋だと思います。国内の責任を見極めていくことで、大変なこともあるでしょうけど、今の言葉いうとアフガニスタン・ルールというのでしょうか、そういうものを自社の報道に課して行く、そういう目で外部から評価して行く、といったことが戦争報道に関してもっと必要なのではないかと思います。これは、報道全てに繋がっていますかね。

あのような戦争をするに至った原因の究明と、それを現代に生かしていくことは、未だに急務だと思います。バブル崩壊を分析した記事や本などを読むと、どうも戦前・戦中の失敗と本質的なところで繋がっている、という結論を出しているものが多いです。そしてその原因はバブル崩壊後、潜勢化しているだけで、また大きく顕在化する時を待っている。三度目の同工異曲が準備されているのではないか、と思うのです。

まぁ、ただ、三回目を防げれば、必然的に、そのときは日本も立派な国になっていると思うので、そういう意味では、僕は楽観しています(笑)
ということで今のためとして、戦争報道による、原因の徹底した究明とその周知は非常に重要だと思うのです。

大岡春卜の「墨花争奇」は、字と絵の巻物全体のバランスが良くて、特に突出している作品ではありませんが、こういう言葉にならない美意識ですとか、日本の宝だと思います。

佚山の「花鳥図屏風」はぶどうみたいな蔓ですとか、本当に若冲そっくりなんですけど、やっぱり少し生硬な所がありますね。

鶴亭の「墨竹図」は雪を塗り残しで表現した作品で、抽象的であるとの解説が。
そう言われると、フォーマットを脱した日本画は抽象画としても観られそうで、その突出した存在が若冲であり、北斎の「李白観瀑図」あたりといえそうです。

「隠元豆・玉蜀黍図」は中国的な、ざっくりとした力強さが全面に出た絵。

「寒山拾得図」は笑みがチャーミングな絵で、この画題では珍しいです。作家によって得意な表情、というのがありますけど、若冲は圧倒的に笑みのようです。
そこら辺は木喰並でしょうか。年齢をたまにかさ増しする?所も似ていますし(笑)

「布袋図」のモデルとなった霞谷山人も同じ様な、怪人的な笑顔が面白いです(笑)

「鷹図」は体を捻った瞬間だろう、とのことで、決定的な瞬間(多分)にもかかわらず、やはり躍動感はあんまり無いですねぇ。延長線が天を衝く、らせん状の構図で、こういうパンってありますよね。

「柳に叭々鳥図」は剛い筆致で描かれた鳥を、柔らかい柳が受け止める作品。

メインの出し物にして、このたび再発掘された「象と鯨図屏風」は観た瞬間、ああ、国宝が誕生した、と思わせる瀟洒にして凄まじく雄大な作品。巨大な紙風船、というと言い尽くせませんけど、そういうほんわかした地球的なスケール感を醸していて、近寄るのが非常に惜しく感じました。
象の顔はやはり笑顔系のすっとぼけた感じで、鯨の潮ですとか、全体の描写は絶妙に朧。
やっぱり真ん中に描写が余り無いのは、人が座るためなんですかね。
ここにずっとしばらく、うろついていました(笑)

「白象群獣図」は先ほどの象を升目描きで描いた、最晩年の作品。状態が良くて綺麗で、色と色の境界の処理ですとか、実に端麗です。
「花鳥版画」の一連のシリーズは漆芸の様な艶やかさが、古典的な鮮やかさ。

167番の「鶏図」の解説には「生き物への愛に溢れた絵師であった」と書かれていたのですが、やはり、若冲は根本として愛の絵師であった、というのが、作品群全てから伝わって来ることだと思います(笑)
ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました