山種美術館 ボストン美術館 浮世絵名品展 錦絵の黄金時代―清長・歌麿・写楽―

#その他芸術、アート

旧聞ですけど、高円寺でデモがあったんですね。結構人が集まったんですねぇ。
原発については西田敏行さんがラジオでかなり毅然とした批判をされていたそうで、損得を考えないで声をあげる人は立派ですし、もっと増えたら良いですねぇ。
東電の接待旅行はあまり大きく騒がれませんけど、ここの癒着を完全に断ち切ってしまえば、かなり展望が開けるんですけどねぇ。70年目にして、自己解剖の勇気が試されているのではないでしょうか(何

今週の日曜、山崎七段のちょいワル講座をちらっと観たら、1七玉にビックリ。こんなにマニアックで華麗な講座だったのか!!

行って参りました。美術館に津波の後に行くのは初めてだったんですが、人が雲霞のごとくいて、びっくり。わらわら美術館に入っていって、足の踏み場が無いくらいでした。
「夜と霧」に極限状態になるほど、なぜか文化活動が盛んになる様が書かれていましたけど、そういうことすら思い起こさせます。それともただの江戸ブームですかね?

充実しているのは、鳥居清長。やはり八頭身が親近感を与えたというのは、本当なのでしょうか(^_^;)
最初に出てきた「仲之町の牡丹」は異常な状態の良さで、冒頭で衝撃を与えます。表題は牡丹ですけど人がぞろぞろ描かれていて、主題はそこに存在する調和であろう、と感じました。

「子宝五節遊」のシリーズが素晴らしく、金太郎を描くのが得意だったのは、意外でも唐突でもないんですね。そのなかの「重陽」ですとか丸っこい感じが実に可愛らしく、笑顔も、莞爾としたというと正確かはわかりませんが、自然な素晴らしいもの。清長はこのシリーズを観る限り笑顔の芸術家と呼びたい位です。
最近ぽぽぽぽ~んのCMがいろいろな所でおちょくられていますけど、笑顔の裏にある深い所から湧き上がるもの、があのCMでは描かれていないんですね。だから感動を呼ばないのではないか、と比べるのも仕方が無いですけど、そういう事を考えていました(笑)

「端午」の節句は鍾馗様ののぼりが立っていますけど、現代に復活させたいものの一つですかね。花祭も将来的にはクリスマスを上回りたい!!・・・ですけど、お釈迦さんがキリストに比べてやや暗いのは、否めない部分はありますからねぇ。旧暦を尊重する所からやらないと、難しいですかね。
思い出したんですけど、あんまりそういう事をいう人はいないんですけど、大乗仏教っていうのは、お釈迦さんの教えは素晴らしいけど、ちょっと暗い所はなんとかならないかなぁ、と思った人が、生み出していったんじゃないかなと思うんですよね。
お釈迦さんの暗さが仏教教学全体の、発展の起爆剤だったんではないかと思っているんですけど、どんなものでしょうか。

それにしても「上巳」ですとか、子どもを祝福する気持ちが画幅全体に溢れていて、本当に良いシリーズでした。

歌麿では「五節句」が同趣向の作品で、江戸の季節感は素晴らしいですねぇ。「福島左衛門」は美人にお灸を据えられる福島正則ですけど、この人は昔から道化がぴったりです(笑)

写楽では「三代目沢村宗十郎の名護屋山三」が格好よく、大首絵以外の写楽の才能を堪能させてくれるラインナップでした。

鳥文斎栄之の錦絵も結構出ていて、「新大橋橋下の涼み船」が華やかな風俗に、開けた構図に作品としての格調がある絵で、鯛を捌く男がいなせです。
「略三幅対 女三宮 絹通姫 小野小町」は絹を通って美しさが照射されていたという、絹通姫の美しさが良く出ていました。そういう内側から輝くような方は、現代にもいらっしゃいますので良く分かります。
「女三宮」は清長のもありましたけど、猫を従えているっていうのが、やはり実に官能的で、この構図を良く生み出したなと思います(笑)

歌川豊国の「見立鏡山」は背景に桜が咲き誇る中、袋竹刀を持った美人が映えます。

歌川豊春の「遊女と禿図」の説明では、「正確な西洋的遠近法」を豊春がマスターしていたことが特記されていて、ボストン美術館らしい説明といいますか、他にもそういう記述があったんですが、遠近法ですとか陰影法ですとかは江戸時代に伝わってきていたんですけど、自分たちの文化の文脈に合わない部分は、むやみに使わなかったんですよね。
現代の漫画なんかにもそういうセンスは受け継がれていますけど、取捨選択して受け入れて、自分たちの文化を花開かせた事が素晴らしいと思います。
それにしてもこの絵は、花柄を基調とした遊女の着物が美しく、ここまで色彩が豊かなのかと目を瞠ります。

カタログを立ち読みしたんですが海外の浮世絵事情がかかれていて、学位の取得し易さなどからいうと、7、80年代より近年取りやすくなってきているとの事。
海外の初期浮世絵のファンは具体的な良さを説明できない、という部分が面白かったです。
後期の広重とかのように、構図的な面白さは薄いんですが、にじみ出てくる良さはありますからね。

ボストン美術館展は常に素晴らしい質で、特に数年前に行った肉筆画展は、凄い展覧会だったんだな、とそのときの作品の印刷を観ながら未だにしみじみと思います。
今回も清長をはじめ、見事な質で、江戸の季節感が印象に残る展覧会でした。ありがとうございました。

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