映画「手塚治虫のブッダ-赤い砂漠よ!美しく-」

それにしても、オールスターの嶋選手の宣誓はしっかりしていましたね。東電の中にもこれだけしっかりしている人が一人でもいれば、、、。
しかし、始球式では男子学生が数人出てきましたけど、女子も混ぜれば良いと思うんですよね。そこら辺、運営がやや甘かったのではないかと思います。

それと時節柄、地デジ利権お話はもっとされても良いですよね。
また、似たような話ですけど、事業仕分けではスパコンの事が話題になったりしましたけど、独立行政法人、財団法人の在り方などが本筋だったはずで、それをぼかすための話題の転換だった思うんですよね。
齋藤孝さんがテレビで世界一がなんたら、といったことについて話していましたけど、このことについて話さないのはピンボケだったと思います。

あと、最近テレビが節電を呼びかける報道に、何気無く、「ピーク時」ということばを頭に付け始めましたね。
当たり前の話で、それでもまだ原子力村の意向に沿った誤報だと思うんですが、いままで四六時中の節電で亡くなられた方々の命はどうなってしまうのでしょうか。
節電の呼びかけは本当に正しかったのか、自己検証の特集を組むのが最低限の事だと思うのです。

というわけで、諸般の理由で観に行くことになったので、行って参りました。

原作が暗いので、映画版はどうだろうかと思い、前日にR指定がないかどうか調べたのですが、無かったので安心していったのですが、最初から最後まで殺人シーンばかりでグロッキーでした。
一緒にいった人はけろっとしていましたけど(^_^;)

まず思ったのは描写が当時のインドの状況に基づいていない。
シャカ国がやたら大きいなど、勢力的なものは序の口として、身分制の過酷さが強調されていましたが、この頃はシュードラでも金を持っているものにみんながへつらっていた時代らしく(原始仏典 (ちくま学芸文庫) )むしろ身分制の混乱に特徴付けられる時代なのだそうです。

またこの頃のインドの思想的な興隆は簡単に実る農業によって支えられていたらしく(ブッダのことば 257ページ)、ここまでみんな飢えているのはおかしいと思います。もちろん大変ではあったでしょうけど。

それではここに描かれているインドは一体なんなのか、というと、わたしはつい最近までの江戸時代の典型的なイメージが重なりました。
またその中で出世を目指して、殺しを重ねて、最後は自分も死んでしまう人が出てくるのですが、これは「燃えよ剣」の新撰組を思い出しました。あの戦後の団塊の時代の一つの社会的な心象風景が表れているのではないかと感じました。
そしてこれは結局、バブル~震災に至る、日本の姿そのものだったのではないでしょうか。

新撰組は最近思想集団としての面が注目されているらしく(開国への道 (全集 日本の歴史 12) 平川 新 (著)) 、また特に山南総長死去の辺りまではそういう傾向が強かったそうです。(新選組 松浦玲102ページ以下)出世を目指して場当たり的にひた走っていたようなイメージがあったと思うんですが、そういうのとは少し違うようです。

またシャカ国は共和制に近い体制だったらしく、そういうのともかけ離れていたと思います。
というわけで少なくとも「古典の歴史的理解」(桂東雑記拾遺 210ページ)といった面からは実に失格だと思います。

ここらへんはアトムと共通するのではないかと思います。あれも原子力の周辺を誠実に調べて、アニメに仕立てたという感じではないでしょう。常に危険があるとか、放射性廃棄物はいつまでたってもついて回る、とか、ちゃんと向き合っていれば、未来の話とはいえそこら辺を外して描いてはいけない、と思ったはずだと思うのです。
この世代の作品の常なのかもしれませんが、実際のものを題材にしながら、勝手な空想に頼りすぎていると思います。

また最後に出家するんですが、一緒に観に行った人いわく、あんな合掌しても、眼の見えなくなった登場人物一人救えない、とのことで、なるほど、と思いました。
どうも正史をみていくと、お釈迦さんの出家の理由はかなり個人的なものなんですよね(人の老・病をみて考え込んだ)。社会的な問題意識が結起となって成長されていったら、むしろアショーカ王的な方向性に行ったのかもしれません。そこら辺、社会的な話をごてごて付け加えたことで、フィクションとして整合性が損なわれているのではないかと思います。

(ただのちには「仏典のことば」で「仏教徒の説く社会生活」という項目があるように、社会政策について散説しています。なのでたしか中沢新一さんがキリストに比べて、釈尊の社会政策に対するメッセージは少ない、と書いていましたけど、そうとはいえないのではないかと思います)

昔読んだんですけど、今見直すと首を傾げるところが多いといわざるを得ませんね。原作はこのままずばりではないですが、やはり完成度ひくかったですかね?

出てくる人、悪人ばかりで、もしインド人の人がこの作品を知ったら、訴えられないか心配なくらいです(^_^;)

出家した瞬間で終わるので、教えなどが出てくることはまったく無く、伝わって来るメッセージはほぼ皆無。
また、一緒に観に行った人いわく、宮崎アニメとかに比べると動きが古臭くてみるに堪えないとの事。
何のために作ったのか謎で、舞台裏は知りませんけど、きっと余り積極的な理由ではないのだろうと思います。

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